質問主意書

第219回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一九第二号
  令和七年十月三十一日
内閣総理大臣臨時代理        
国務大臣 木原 稔


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員塩村あやか君提出痛くない乳がん検診に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員塩村あやか君提出痛くない乳がん検診に関する質問に対する答弁書

一について

 乳がん検診も含め、がん検診については、従来より、国立研究開発法人国立がん研究センター(以下「国立がん研究センター」という。)において、その有効性を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価する調査研究を行った上で、検診に係るガイドラインの作成等が行われてきたところであり、乳がん検診については、直近では、「有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン二千十三年度版」(以下「乳がん検診ガイドライン二千十三年度版」という。)が作成されているところ、厚生労働省健康・生活衛生局長が参集を求めて開催している、医学の専門家等により構成される「がん検診のあり方に関する検討会」(以下「検討会」という。)においては、これまで、乳がん検診ガイドライン二千十三年度版の内容等も評価しながら、検診の在り方について継続的に検討してきたところである。

 その上で、御指摘の「これまで調査研究を実施していない理由」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年十月十日に開催された第四十五回検討会において、「近年、マンモグラフィ以外にも、超音波検査やMRI等、いくつかの手法が人間ドック等で検診として実施されている。また、マンモグラフィ検査においても、より多くの断層で撮影する3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)が開発されている」等の現状を踏まえ、「現在、国立がん研究センターの乳がんの対策型検診に係るガイドラインは二千十三年度版が最新であるため、同センターにガイドラインの更新を依頼」することが確認されたところであり、これを受けて、同省において、国立がん研究センターに対して、乳がん検診ガイドライン二千十三年度版の更新の依頼を行ったところである。

 今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診の有効性」を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価するお尋ねの「調査研究」を行った上で、乳がん検診に係るガイドラインが更新される予定となっているところである。

二について

 乳がん検診ガイドライン二千十三年度版において、マンモグラフィの有効性について、高濃度乳房である者の割合が高い四十代も含めて評価され、四十歳から七十四歳までを対象として、「死亡率減少効果を示す相応な証拠がある」とされており、御指摘の「高濃度乳房に対するマンモグラフィの有効性」についても否定されていないと考えている。

三について

 市町村(特別区を含む。以下同じ。)が健康増進法(平成十四年法律第百三号)第十九条の二の規定に基づき実施する健康増進法施行規則(平成十五年厚生労働省令第八十六号)第四条の二第六号に掲げるがん検診については、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(平成二十年三月三十一日付け健発第〇三三一〇五八号厚生労働省健康局長通知別添。以下「指針」という。)において、がんによる死亡率を減少させることについて信頼性の高い科学的根拠があると認められた検査を定め、その実施を推奨しており、現時点においては、二についてで述べたとおり、マンモグラフィについてその有効性があるものと認識しているところ、お尋ねの「マンモグラフィ以外の検査の実施が有効だと考える」かどうかについては、一についてで述べたとおり、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診など」の有効性を含め、調査研究が行われる予定となっているため、現時点ではお答えすることは困難である。

四について

 お尋ねの「彦根市の当該事例」については承知しているが、お尋ねの「乳がんMRI検診の全額助成に対し、短期間で多数の申込みがあったことの要因」については、御指摘の「全額助成」であったことのほか、受診者がその有効性を期待したこと等の様々な要因が考えられる。いずれにせよ、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診」などの有効性を含め、調査研究が行われる予定となっているところである。

五及び六について

 マンモグラフィについては、乳がん検診の検診項目として指針に定め、市町村に対しその実施を推奨し、普及促進を図っているところであるが、御指摘の「乳がんMRI検診」については、現時点の評価では、死亡率の減少効果が明らかとなっていないため、検診項目として指針に定め、御指摘のように「普及促進」や「乳がんMRI検診」の受診増による「乳がん検診の受診率向上」を図るために「好事例として他の地方公共団体に周知する」ことや、御指摘のように「普及促進を図り、マンモグラフィ以外の検査法も選択できる環境を整備すること」は、現時点では考えていない。

七について

 一についてで述べたとおり、今後、国立がん研究センターにおいて、御指摘の「乳がんMRI検診」の有効性を含めた科学的知見を収集し、その内容を評価する調査研究を行った上で、乳がん検診に係るガイドラインが更新される予定となっており、その上で、検討会において、当該ガイドラインの内容を基に、「乳がんMRI検診」を「指針へ位置付けること」の適否も含め、議論することとしているところ、厚生労働省においては、検討会の議論を踏まえ、「乳がんMRI検診」について「指針へ位置付けること」により市町村に対しその実施を推奨し、普及促進することの適否について、検討することとしている。