質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第九一号

高市早苗内閣総理大臣の言う「台湾有事」に係る「存立危機事態」における中国の我が国に対する反撃又は報復攻撃に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十二月十七日

小西 洋之


       参議院議長 関口 昌一 殿



   高市早苗内閣総理大臣の言う「台湾有事」に係る「存立危機事態」における中国の我が国に対する反撃又は報復攻撃に関する質問主意書

 令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において、高市早苗内閣総理大臣は「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国、北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。実際に発生した事態の個別具体的な状況に応じて、政府が全ての情報を総合して判断するということでございます。実に武力攻撃が発生したら、これは存立危機事態に当たる可能性が高いというものでございます。法律の条文どおりであるかと思っております。」と答弁した。

 これに対して、令和七年十一月十三日、中国外交部の林剣報道官は「日本が大胆にも武力で台湾海峡情勢に介入すれば侵略行為になり、中国は必ず正面から痛撃を加える。われわれは国連憲章と国際法によって付与された自衛権を断固行使し、国家の主権と領土の一体性を揺るぎなく守る。」(新華網日本語訳)と述べた。

 以下質問する。

一 政府は、一般論として、我が国がある国に対して集団的自衛権を行使した場合、当該国から、我が国に対する反撃又は報復攻撃があると考えているか。この「反撃」及び「報復攻撃」の意味するところは、昭和四十八年九月十八日の参議院内閣委員会における山中貞則防衛庁長官(当時)の「日本の場合は――世界の国々の通常の概念である国が攻められたらもちろん反撃するでしょうし、あるいはまた、攻める気配があれば、攻撃は最大の防御として攻撃を先にかけるでありましょうし、あるいは報復攻撃をするでありましょうし、あるいは敵の首都を制圧して自分の国の国権というものを軍事力によって相手方に示そうとすることをするでしょう。そういう一切のことが日本においてはできない。」という答弁における「反撃」、「報復攻撃」の意味するところによる。

二 この中国外交部の報道官の発言からすれば、高市内閣総理大臣の言う「どう考えても存立危機事態になり得るケース」である「台湾有事」において、我が国が中国に対して集団的自衛権を行使すれば、我が国は中国から反撃又は報復攻撃を受けるのではないか。

三 高市内閣総理大臣の言う「どう考えても存立危機事態になり得るケース」である「台湾有事」における我が国の中国に対する集団的自衛権の行使としての武力の行使は、中国から見れば、中国は日本に対する武力攻撃をしていないにもかかわらず、日本が中国に先に武力攻撃(あるいは武力行使)をしてきたということになるのではないか。そのような事態を招かないためにも、日本国憲法第九条は、集団的自衛権の行使を禁止してきたのではないか。

  右質問する。