質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第八九号

存立危機事態において我が国が我が国と密接な関係にある他国の同意を得て武力行使をすることに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十二月十七日

小西 洋之


       参議院議長 関口 昌一 殿



   存立危機事態において我が国が我が国と密接な関係にある他国の同意を得て武力行使をすることに関する質問主意書

 政府は、長妻昭衆議院議員が提出した「集団的自衛権行使容認等に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第三三三号)に対する答弁(内閣衆質一八九第三三三号)において、「「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しした「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)は、憲法第九条の下で「武力の行使」が許容されるための要件であり、国際法上の要件をお示ししたものではなく、国際法上集団的自衛権の行使の要件とされる武力攻撃を受けた国(以下「被攻撃国」という。)の要請又は同意は明記されていないが、我が国による「武力の行使」が国際法を遵守して行われることは当然であり、「武力の行使」の国際法上の根拠が集団的自衛権となる場合には、被攻撃国の要請又は同意が必要となる。この被攻撃国の要請又は同意は、一般国際法上、集団的自衛権の行使の要件として必要であると考えられているものであり、御指摘の千九百八十六年六月二十七日のニカラグア事件に関する国際司法裁判所の判決は、集団的自衛権の行使の要件について、必要性及び均衡性の要件に加え、自らが武力攻撃の犠牲者であるとする国による要請が必要であるとしているが、これは、集団的自衛権を行使することについての被攻撃国の同意をその要件から排除するとの趣旨ではないと考えられている。この同意は、条約等の形式によるものを含むが、一般国際法上、その形式について具体的な定めがあるわけではない。また、被攻撃国による要請又は同意が行われるべき時期については、個別具体的な状況によるものであり、一概に申し上げることは困難であるが、条約等の形式により被攻撃国に対する武力攻撃が発生する前にあらかじめ同意を与えておくことも認められるものと考えている。新三要件を満たす場合には、被攻撃国からの要請又は同意に基づき、国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使」を行うことが認められるが、いかなる場合に我が国が「武力の行使」を行うことができるかについては、個別の状況に応じて判断すべきものであり、あらかじめ定型的類型的にお答えすることは困難である。」と答弁した。

 以下質問する。

一 「武力の行使」の三要件を満たす場合において、武力攻撃を受けた国から我が国に対する要請はないが、我が国が武力攻撃を受けた国から同意を得たときは、当該同意に基づき、国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使」を行うことが認められるか。武力攻撃を受けた国から我が国に対する要請がある場合については明らかであるから、答弁は不要である。

二 日本が国際法上の根拠が集団的自衛権となる「武力の行使をしてよいか」と当該国に同意を求める事態というのは、どのような事態を想定しているのか。

  右質問する。