第219回国会(臨時会)
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質問第八七号 インボイス制度の負担軽減措置等の柔軟な運用に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十二月十七日 牧山 ひろえ
参議院議長 関口 昌一 殿 インボイス制度の負担軽減措置等の柔軟な運用に関する質問主意書 二〇二三年十月のインボイス制度(以下「制度」という。)実施以来、特に中小零細事業者、フリーランス、個人事業者において、事務負担の増大、取引条件の弱い立場の事業者への転嫁拒否、免税事業者の取引排除など、多岐にわたる影響が指摘されている。制度実施に当たり、政府は、「二割特例」、「八割控除」と言われる負担軽減措置、経過措置を設けた。 「二割特例」は、制度を機に免税事業者がインボイス発行事業者として課税事業者に転換した場合における負担軽減措置である。売上げに係る消費税額の八割を控除し、残りの二割だけを納税額とすることができる。適用期間は二〇二三年十月一日から二〇二六年九月三十日までの日の属する各課税期間である。手続として事前届出は不要であり、確定申告書に「二割特例」の適用を受ける旨を記載するだけで適用される。 「八割控除」は、課税事業者が免税事業者等からの仕入れについても制度実施後六年間は仕入税額相当額の一定割合を控除可能な経過措置である。控除可能な割合については、二〇二三年十月一日から二〇二六年九月三十日までは仕入税額相当額の八十%、同年十月一日から二〇二九年九月三十日までは五十%であり、同年十月一日以降は控除不可となる。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 制度が目立ったトラブルなしに実施されたことは、これらの負担軽減措置及び経過措置によるところが大きいと評価している。これらの負担軽減措置等の果たした役割と意義に関する政府の認識を示されたい。 二 制度実施後二年が経過したが、免税事業者から課税事業者への転換はどの程度進んでいるか示されたい。 三 負担軽減措置等を予定どおり終了する場合、課税事業者への転換に至らなかった中小零細事業者等の免税事業者の経営にどの程度の負担が掛かるか見通しを示されたい。また、その負担によって廃業に追い込まれる事業者がどの程度出るか見通しを示されたい。 四 中小零細事業者においては、制度実施後、インボイス発行事業者への転換や確認作業に時間を要しており、仕入先との関係で混乱が続いている。政府は制度の定着状況をどのように把握しているか示されたい。 五 制度実施後二年が経過したが、事業者の負担が軽減されたとは必ずしも言えず、制度への対応が追いつかない事業者も少なくない。現場からは、これらの負担軽減措置等の延長又は恒久化を求める声が強い。こうした現場の声を政府は無視すべきではないと考えるが、政府の対応方針を示されたい。 六 負担軽減措置等を終了する場合、予定どおり機械的に終了するのではなく、制度の定着状況や事業者の経営状況等を事前に調査する必要があると考えるが、こうした調査の必要性に係る政府の認識を示されたい。また、その調査結果に基づき、事業者等に問題が生じないことを確認した上で負担軽減措置等を終了するという柔軟な運用を検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |