第219回国会(臨時会)
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質問第八四号 被害者手帳導入時の実効性の確保策等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十二月十七日 牧山 ひろえ
参議院議長 関口 昌一 殿 被害者手帳導入時の実効性の確保策等に関する質問主意書 犯罪被害者支援については、制度の周知不足、自治体間格差、関係機関の連携不足、属人性など、制度の断片化という課題が長年指摘されてきた。被害者手帳の導入は、こうした課題の解消に寄与し得る政策である。しかし、しっかりとした制度設計や運用面での実効性を確保する具体的な仕組みがなければ、その効果は限定的となるおそれがある。 被害者手帳の実効性は、運用面における政策判断に左右される。例えば、被害者手帳の配付方法、被害者支援に係る制度の説明方法、関係機関の連携、全国統一の運用基準の設定、被害者手帳のデジタル化による利便性向上・アクセシビリティ確保などである。また、被害者手帳の導入後には、効果を検証し、継続的な改善を担保する仕組みも必要である。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 被害者手帳導入時の実効性確保及び関係機関の責任分担について 1 警察、検察、医療機関、自治体など、被害者支援の入口となる機関に対し、被害者手帳を活用した支援を義務付ける考えはあるか示されたい。義務付ける考えがない場合、実効性をどのように担保するか示されたい。 2 被害者手帳の配付及び被害者支援に係る説明について、支援開始の標準手続として制度化する考えはあるか示されたい。 3 関係機関横断的な運用基準・プロトコルを策定し、全国統一の運用を徹底する考えはあるか示されたい。 4 自治体の被害者支援担当部署の体制強化に向け、政府としてどのような支援を行う方針か示されたい。 5 自治体の被害者支援窓口やワンストップ支援センターとの連携をどのように位置付けるか示されたい。 二 被害者手帳のデジタル化及びアクセシビリティの向上について 1 政府は、被害者手帳のデジタル化を検討しているか示されたい。検討している場合、いつまでに結論を得るかなどスケジュールを示されたい。 2 デジタル化する場合、プライバシー保護や情報管理に係る方針を示されたい。また、多言語対応、読み上げ機能、障害者への配慮、高齢者・ICTに不慣れな国民への対応など、ユニバーサルデザインに基づく措置を講ずるべきと考えるが、政府の方針を示されたい。 三 その他の実効性確保のための施策に係る検討事項 1 被害者手帳の配付等を支援開始の標準手続として制度化した場合、支援を行うNPO等の団体はどのような位置付けとなるか、政府の方針を示されたい。 2 第五次犯罪被害者等基本計画(案)では、「犯罪被害者等支援コーディネーターを配置した多機関ワンストップサービス体制の整備及び効果的な運用が図られるよう、都道府県に対して財政面・運用面での支援を行う」とされている。犯罪被害者等支援コーディネーターは、どのような経験、資格、素養等を持った人材を想定しているか示されたい。また、犯罪被害者等支援コーディネーターに対して、どのような権限の付与を想定しているか示されたい。 3 被害者手帳には、自身の被害状況を記載する欄も設けられる方向とされている。これにより、被害状況を繰り返し口頭で説明することによる心理的負担の軽減効果が期待されている。しかし、被害者支援に係る各手続における口頭説明が必要最小限な範囲に縮減されるとは必ずしも言えないと考える。この懸念について、政府は問題意識を有しているか示されたい。 四 被害者手帳導入後の政策評価及び改善プロセスについて 1 被害者手帳の導入による政策効果(被害者支援に係る制度へのアクセス向上、被害者支援窓口の利用者増加、制度の利用率改善等)を評価するための指標を設ける考えはあるか示されたい。 2 前記の政策効果の評価結果を公表し継続的な改善を行うPDCAサイクルについて、制度として導入する考えはあるか示されたい。 右質問する。 |