第219回国会(臨時会)
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質問第七七号 生活保護費に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十二月十六日 百田 尚樹
参議院議長 関口 昌一 殿 生活保護費に関する質問主意書 保険料を四十年間納付した場合の満額の老齢基礎年金受給額(以下「年金額」という。)よりも、東京二十三区などの生活保護受給額の方がはるかに多いケースがあることが報じられるなど、年金額と生活保護受給額とのアンバランスが指摘されている。令和五年度の生活保護費負担金の実績は約三・六兆円であり、その半分の約一・八兆円を医療扶助が占めている。また、生活保護費負担金の四分の三は国費である。 現在、現役世代の社会保険料負担の軽減に係る議論が進んでいる。政府においても、高齢者の医療費の窓口負担割合やOTC類似薬の保険適用についての見直しなどが議論されている。このような社会情勢の中、巨額の国費が投じられている医療扶助の適正化は必須である。 医療扶助をコントロールする機関は福祉事務所である。生活保護受給者は福祉事務所に医療扶助を申請し、保護が必要と認めた福祉事務所が医療券等を発行した後、指定の医療機関を受診することとなっている。しかし、この手続が形骸化し、医療券発行を省略して直接医療機関を受診するケースが後を絶たず、複数の医療機関の受診により医療扶助が増大する原因となっている。 医療扶助の適正化については、ケースワーカー等による頻回受診・多剤・重複投薬等の指導、後発医薬品の使用の原則化、オンライン資格確認の導入による頻回受診傾向の把握等の取組が行われてきた。福祉事務所では、生活保護受給者について、誰が、いつ、どこで医療機関を受診したかという情報は把握できる。しかし、受診した診療科や薬剤の処方内容までは把握できず、指導には限界がある。医療扶助の適正化を進めるためには、医療機関と同様に、福祉事務所に対しても生活保護受給者に係る電子カルテや電子処方箋へのアクセス権限を与えることが必要である。また、取組の強化に伴い、福祉事務所の事務負担の増加やマンパワー不足等が課題になると考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 前記報道を踏まえ、年金額と生活保護受給額のバランス及び生活保護受給額の水準の在り方についてどのように考えるか、政府の見解を示されたい。 二 医療扶助の適正化が要請されている中、福祉事務所の権限が弱く十分な対応ができていない現状に対し、政府が十分な予算や人材を措置し、福祉事務所の権限強化を図るべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 三 生活保護受給者の多くが、福祉事務所が指定する医療機関以外の医療機関を受診している現状に対する政府の見解を示されたい。 四 医療扶助の適正化策として、生活保護受給者に対し、院外処方薬局を一つに限定するなどの抜本的な対応が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。 五 医療扶助の定率又は定額負担など、生活保護受給者に対し一定の自己負担を求める考えがあるか、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |