質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七六号

医師の応招義務及び不法滞在の外国人の医療費支払等に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十二月十六日

百田 尚樹


       参議院議長 関口 昌一 殿



   医師の応招義務及び不法滞在の外国人の医療費支払等に関する再質問主意書

 私が提出した「医師の応招義務及び不法滞在の外国人の医療費支払等に関する質問主意書」(第二百十九回国会質問第一二号)に対する答弁(内閣参質二一九第一二号)において、政府は医師の応招義務について、「一般的には、御指摘の「治療費を支払うことができないこと又は不法滞在者であること」のみを理由として診療を拒むことはできない。」と答弁した(以下「政府答弁」という。)。

 また、不法滞在者等に対する診療により医療機関に未収金が発生した場合の費用負担については、「「外国人に係る医療機関の未収金について、公費で肩代りすることになれば、財政的な負担が増大するだけでなく、事実上、外国人は容易に無料で医療を受けられることとなるが、これが結果的には不法滞在の助長につながるおそれがあるほか、費用負担をしないで医療を受けることを目的として入国するという事態を招くのではないかという懸念がある」等とされているところであり、慎重な検討が必要と考えている。」と答弁した。

 これらの答弁は、不法滞在者等に対する診療により医療機関に未収金が発生している現状に対して、政府は何もしないと言っているに等しく、極めて無責任である。

 現在、医療機関の経営は厳しい状況に置かれている。一般社団法人日本病院会など四団体が公表した「二〇二五年度病院経営定期調査―中間報告(集計結果)―」によれば、医業利益の赤字病院割合について、令和六年度は七十三・八%になったと報告されている。多くの医療機関が経営に苦しんでおり、未収金を容認できるような状況にはない。

 厚生労働省が実施した「令和六年度医療機関における外国人患者の受入に係る実態調査」によれば、令和六年九月の一箇月間に四百七十病院が外国人患者による未収金を経験し、その総額は二億三千万円を超えたと報告されている。また、東京都では、都立病院における外国人による未収金の額が令和六年度だけで一億七千万円を超えていると報道されている。医療機関は外国人による未収金だけでもこれほどの負担を強いられており、日本の医療制度が壊れることさえも懸念される状況である。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 政府答弁は、倫理規定的な位置付けとされている医師の応招義務を利用して民間医療機関に責任を負わせるものであり、民間医療機関に対して拒否権のない裁判を行っているようなものと考える。他の民間業種で考えれば、料金未払は犯罪である。厳しい経営状況に置かれている医療機関において、未収金の発生は死活問題になりかねない。政府は国民のための医療に責任を持つべきであり、治療費を支払えない不法滞在者に対する医療提供や費用負担については政府が対応すべきと考えるが、見解を示されたい。

二 出入国在留管理庁は、令和七年六月末の在留外国人が三百九十五万人を超え、令和七年七月一日現在の不法残留者数が七万一千人を超えると報告している。政府として急増する外国人の医療提供や費用負担について責任を取れないのであれば、実質的な移民政策と指摘されている現在の外国人受入れ政策を一時休止すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 高市早苗内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において「必ず、医療機関そして介護施設がこれ以上倒産しないように、守る」と答弁し、同月十一日の同委員会において「医療と介護、しっかりと守ってまいります。」と答弁した。

 不法滞在者による未収金を医療機関に負担させ続ければ、未収金の負担により倒産する零細病院がいつ発生してもおかしくない。医療を守るという高市内閣総理大臣の決意を実現するためにも、不法滞在者による未収金への対応として医療機関への補助金が必要と考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。