質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第七四号

高市政権の外国人政策の在り方等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十二月十六日

ラサール石井


       参議院議長 関口 昌一 殿



   高市政権の外国人政策の在り方等に関する質問主意書

 高市早苗内閣総理大臣は二〇二五年十一月四日、「外国人との秩序ある共生社会の実現について」という内閣総理大臣指示を出した。同指示では、既存ルールの遵守・各種制度の適正化として、「不法滞在者ゼロプランの強力な推進」、「在留資格の審査の厳正な運用(納税状況等の活用を含む)と在留資格の在り方・帰化の厳格化の検討」、「国保料、医療費(入国前の民間医療保険への加入の検討を含む)、児童手当、就学援助、外国人留学生・外国人学校に対する支援をはじめとする各種制度・運用の見直し・適正化の推進」、「入管庁と市区町村又は関係行政機関との情報連携の推進」、「査証手数料と在留許可手数料について、主要国の水準等を踏まえた見直し」等が示されている。

 これを受け、政府は、外国人の国民健康保険料(保険税を含む。以下「国保料」という。)の滞納状況を把握して在留資格審査に活用する、在留資格の更新手数料を大幅に引き上げる等の施策を検討していると報道されている。こうした施策が日本で暮らす外国人の生活と人権を脅かすことを深く憂慮し、以下質問する。

一 「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」(以下「ゼロプラン」という。)について、出入国在留管理庁は二〇二五年十月十日、同年八月までの実施状況を公表した。九月以降に強制送還された人数について、国籍別の速報値を示されたい。統計がない場合、新たに統計を取って示されたい。

二 政府は、ゼロプランの推進に当たり、強制送還する人数について各月の目標を設定しているか示されたい。

三 ゼロプラン発表以降に強制送還された者のうち、収容中・監理措置中・仮放免であった者の人数を、月別・国籍別に示されたい。統計がない場合、新たに統計を取って示されたい。

四 ゼロプラン発表以降に強制送還された者のうち、実刑判決を受けた者の人数を、月別・国籍別に示されたい。統計がない場合、新たに統計を取って示されたい。

五 現時点におけるゼロプランの実施状況について、政府の評価を示されたい。また、今後、送還のペースを上げる必要があると認識しているか示されたい。

六 厚生労働省は、外国人の国保料の納付率が六十三パーセントであったとの調査結果を公表したと報道されているが、どのような調査を行ったのか示されたい。また、百五十の市区町村を対象にしたとされているが、その市区町村の名称及び調査対象に選んだ理由を示されたい。

七 国保料を滞納している外国人に関する情報提供を行う取決めを出入国在留管理庁との間で締結した地方公共団体が存在すると承知している。現時点で同取決めを締結した地方公共団体の数を示されたい。また、政府は、地方公共団体に対し、国保料を滞納している外国人に係る情報提供を促す通知を発出したことがあるか示されたい。発出したことがある場合、その内容を示されたい。

八 国保料の滞納者に係る情報提供を行う法的根拠を示されたい。

九 国保料を一定期間滞納した外国人の在留資格の更新を認めない場合、滞納者は不法残留になると考えられる。こうした外国人も強制送還の対象となり得るか、政府の見解を示されたい。

十 在留資格の更新手数料が大幅に引き上げられた場合、更新手数料を負担できないために在留資格を更新できず、不法残留となる外国人が少なからず生じると考える。特に、特定活動のように短期で更新を繰り返さなければならない在留資格者にとっては、負担が過大となる懸念がある。更新手数料の引上げにより、政府が不法滞在者を増やすことになると考える。政府は、更新手数料を負担できない外国人に対する救済策を考えているか示されたい。

十一 二〇二三年の出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)の改定により、収容に代わる措置として監理措置制度が導入された。同措置は、監理人による監理の下、逃亡等を防止しつつ、相当期間にわたり、社会内での生活を許容しながら退去強制手続を進める措置である。一定条件を満たせば、正規の在留資格を有さない外国人が報酬を受ける活動を許可される可能性もある重要な制度である。

 二〇二四年及び二〇二五年の監理措置制度の実施状況について、監理措置が決定された人数、そのうち、報酬を受ける活動の許可申請をした人数、許可された人数、報酬を受ける活動を行うに至った人数をそれぞれ示されたい。

十二 二〇二四年及び二〇二五年に監理措置の申請を行った者について、措置決定の判断結果が出されるまでに要した期間を示されたい。

十三 二〇二四年及び二〇二五年に報酬を受ける活動の申請を行った者について、許可決定の判断結果が出されるまでに要した期間を示されたい。

十四 二〇二四年及び二〇二五年に監理人になった者について、その属性(親族、弁護士、行政書士、元雇用主等)を示されたい。

十五 監理措置対象者が報酬を受ける活動を行う場合、「報酬を受ける活動は、生計の維持に必要な範囲内で許可することができる」、「報酬額の上限は、生活保護における生活扶助及び住宅扶助の水準を参考にしつつ、被監理者や被監理者と生計を一にする者等の資産及び収入、監理人等の第三者による援助の見込み等を考慮して、個別の事案ごとに判断される」とされている。しかし、報酬額の上限については、同じ世帯構成の家族が生活保護を利用した場合に受給できると考えられる額の半額程度に設定された例があると承知している。報酬額の上限が「生計の維持に必要な範囲内」を著しく下回らないよう、適切な上限の設定に向けて実態についての統計を取るべきと考える。政府として統計を取っているか示されたい。統計がない場合、新たに統計を取る考えはあるか示されたい。

  右質問する。