第219回国会(臨時会)
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質問第六六号 原子力災害対策指針における屋内退避の運用に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十二月十二日 山本 太郎
参議院議長 関口 昌一 殿 原子力災害対策指針における屋内退避の運用に関する質問主意書 一 原子力規制委員会が設置した「原子力災害時の屋内退避の運用に関する検討チーム」(以下「検討チーム」という。)の開催と同時並行的に、「屋内退避に関する情報共有連絡会」(以下「連絡会」という。)が開催されている。二〇二四年三月二十八日以降十一回にわたり開催された連絡会は、原子力規制庁(以下「規制庁」という。)と内閣府原子力防災担当(以下「内閣府」という。)のいずれが主催したものか示されたい。 規制庁主催である場合、「原子力規制委員会の業務運営の透明性の確保のための方針」における会議の原則公開の規定に抵触すると考えるが、政府の見解を示されたい。また、広域避難計画の策定を求められる原発三十キロメートル圏内の自治体の担当者は、同方針における「被規制者等」に該当するか政府の見解を示されたい。 内閣府主催である場合、連絡会において、規制庁の担当者が検討チームの検討内容や進捗状況を自治体の担当者に説明しているにもかかわらず、内閣府主催とする理由を示されたい。また、原子力防災分野においては、規制行政上の利益相反とならないよう、避難計画の基本となる原子力災害対策指針の策定は原子力規制委員会、自治体による避難計画の策定支援は内閣府と役割を分けてきたと認識している。連絡会の実施体制は利益相反に当たると考えるが、政府の見解を示されたい。 二 二〇二五年十月三日に改定された原子力災害対策指針によれば、「屋内退避の継続のためには、医療品等も含めた支援物資の供給及び医療等の人的支援の提供が重要となることに留意する必要がある。」、「屋内退避中は、被ばくを低減するために屋内にとどまることが原則であるが、生活の維持に最低限必要な住民等の一時的な外出や住民等の生活を支える民間事業者等の活動は、屋内退避という防護措置の一部をなすものであり、屋内退避中にも実施できるものである。」とされている。また、規制庁が二〇二五年十一月五日に原子力規制委員会に提出した「防護措置としての屋内退避の考え方及びその運用について(案)」によれば、「屋内退避中の生活の維持に最低限必要となるライフライン管理者・民間事業者の活動は、屋内退避が有効に機能するために重要なものであり、それらの者の活動は屋外での活動であっても継続されることが必要である。」、「屋内退避中の生活の維持に最低限必要とまではいえないものの、屋内退避が有効に機能するために有益な、屋内退避中の住民の生活を支える民間事業者の活動も、地域の状況によっては活動の継続が期待される。」とされている。さらに、原発等の立地道県が設立した原子力発電関係団体協議会は二〇二五年十一月、「屋内退避中の住民生活維持のために必要な民間事業者等の活動について、関係省庁から関係団体等に対して具体的な運用も含めた協力依頼を行うなど、関係自治体の体制整備・運用の支援に省庁横断的に取り組むこと。」との要請を含む「原子力発電等に関する要請書」を原子力規制委員会等に提出した。 屋内退避の継続のためには、住民生活を支えるライフライン管理者や民間事業者の事業継続が不可欠だが、事業継続を義務付ける法的根拠は存在しない。そのため、民間事業者等に対して、原子力災害対策指針の改定の周知及び事業継続の要請を行う必要があると思料するが、政府の見解を示されたい。当該周知及び要請の必要があると認識している場合、その担当省庁を根拠と併せて示されたい。 右質問する。 |