質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五八号

要介護認定に係る制度の改善に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十二月二日

塩村 あやか


       参議院議長 関口 昌一 殿



   要介護認定に係る制度の改善に関する質問主意書

 現行の介護保険制度では、被保険者が加齢に伴う疾病等により常時介護を必要とする状態(要介護状態)や家事や身支度等の日常生活に支援が必要であると見込まれる状態(要支援状態)となり、要介護認定(要支援認定を含む。以下同じ。)を受けたときに介護サービスを受けることができる。要介護認定は、介護サービスの必要度と被保険者の健康の維持・改善の可能性の観点等を踏まえ、市町村等に設置される介護認定審査会が行う。要介護認定の基準については、全国一律に、客観的に定めることとなっているが、現場の認定調査員によれば、調査から審査判定に至る各過程で不都合が生じている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 要介護認定の調査方法の見直しは、二〇〇九年十月以降、十五年以上行われていない。この間、介護をめぐる状況は変化しているが、調査項目は変化していない。また、現場の認定調査員によれば、身の危険を感じつつも見ず知らずの家に単身で調査に行かなければならないこともある中、同調査員に対するいわゆる「カスハラ」が増加している。さらに、認定調査員が病院を訪れて認定調査を実施する場合、看護師が非協力的なために聞き取りに支障を来す事例も発生している。

 調査項目や調査手法の見直しを検討すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 要介護認定に際しては、認定調査票に基づく基本調査の結果及び主治医による意見書の二点が求められる。しかし、両資料における調査対象者の状態に関する記述に乖離がある場合、介護認定審査会から再調査を求められ、審査判定までに追加の時間を要する場合がある。

 主治医による意見書の作成については、認定調査から大幅に遅れる事例がある。また、現場の認定調査員によれば、意見書を作成する担当医の不足のため、適切な判断がなされず、適当な審査判定に結びつかない事例もある。

 認定調査においては、調査日の過去一週間の状況を確認するため、調査対象者が一週間、同一の場所にとどまることを前提にしていると考えられる。しかし、介護保険上及び保険外のサービスの多様化によってそれが困難となる事例がある。

 政府として、これらの問題を是正する取組を行う考えはあるか示されたい。

三 介護認定審査会は保健・医療・福祉の専門家により構成される。介護認定審査会では、一回当たり四十件前後を審査するが、認定に関する資料は膨大であり、事前に全てを読み込むことは難しく、正確な審査判定を行うことは困難であると関係者から指摘を受けている。また、保険者ごとに介護認定審査会の進め方等が異なるため、同程度の介護の必要度がある被保険者であっても居住地(保険者)によって審査判定に差異があるとの指摘も受けている。政府として、要介護認定に係る基準の全国的な統一性をどのように担保するか、保険者による介護認定審査会の適正な運営をどのように担保するか示されたい。

四 要介護認定の更新認定で要介護度が低くなった場合や、被保険者や主治医の見立てよりも低い要介護度と認定された場合等に、希望する要介護度に認定されるまで繰り返し申請を行い、その結果として認定申請件数が過剰に増加しているとの指摘を関係者から受けている。このような事例への対応策を示されたい。

五 医療関係者の中には、当面サービスを利用する予定がない介護保険の被保険者に対し、将来的な利用に備えた認定申請を推奨している事例がある。これにより認定申請件数が増え、現時点で介護保険サービスを必要としている被保険者の審査判定が遅れるという事態も生じている。政府はこの問題にどのように対処するか示されたい。

  右質問する。