第219回国会(臨時会)
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質問第五四号 高市内閣総理大臣の所信表明演説における「基地負担軽減」発言に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十一月二十七日 高良 沙哉
参議院議長 関口 昌一 殿 高市内閣総理大臣の所信表明演説における「基地負担軽減」発言に関する質問主意書 高市早苗内閣総理大臣は二〇二五年十月二十四日の所信表明演説において、「沖縄県を含む基地負担軽減に引き続き取り組みます。」と発言した。米軍基地を過重負担する沖縄県においては、米軍関係者による性暴力を始めとする凶悪犯罪が後を絶たない。沖縄県警によれば、二〇二五年九月末までに沖縄県内で発生した米軍関係者による犯罪の検挙件数は七十七件に上り、過去二十年間で最多とされていた二〇二四年の七十三件を既に上回った。米軍関係者と沖縄県民の居住地は隣接・混在しており、県民のみならず沖縄を訪れる観光客も度々被害を受けている。米軍関係者による犯罪は、減るどころか増える一方である。 NHKは二〇二五年十月二十八日、米海軍、海兵隊の関係者による犯罪を捜査する「アメリカ海軍犯罪捜査局」(NCIS)内部資料を情報公開請求によって入手したと報じた。NHKが得た情報の中には、日本の統計に計上されていない事件が多く含まれていた。米軍に占領された一九四五年から今日まで、老若男女あらゆる世代が被害を受けてきた沖縄県民にとって、米軍関係者による犯罪事件は人権侵害の問題であることを踏まえ、犯罪の発生や関連する状況を的確に把握し、それに基づく早期の対策を講ずることが求められる。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 政府は、米軍関係者や日本に一時的に滞在する外国軍関係者による犯罪を早期かつ詳細に把握し、更なる犯罪の予防や課題の明確化につなげるべきである。米軍関係者及び日本に一時的に滞在する外国軍関係者による犯罪について、日本の捜査機関が逮捕、書類送検していない事件についても、政府は米軍等からの情報共有により詳細を把握できているか示されたい。把握できない事件がある場合、国民の安全と更なる犯罪の予防等に向け、詳細な情報を把握するための体制を整えるべきと考える。把握できない理由とともに、情報把握の体制構築に関する政府の見解を示されたい。 二 前記の沖縄県内で発生した米軍関係者による犯罪の検挙件数の増加に対する政府の見解を示されたい。 三 国内の米軍関係者には基地内に居住する者以外に、基地外の民間住宅地に居住する者が数多く存在する。二〇二四年十二月に発生した未成年者誘拐・性的暴行事件では、被疑者である米兵は基地外に居住しており、米軍基地のゲートにおいて未成年者の連れ込みを把握できない状況にあったと考えられる。また、二〇二五年四月から五月にかけて、米軍関係者の飼い犬である闘犬種のピットブルが逃げ、民家の犬をかみ殺す事案が立て続けに発生した。当該米軍関係者は、自治体への飼い犬の登録をせず、逃げた際の通報もしなかったと報じられている。本来であれば、基地の内外を問わず米軍関係者は日本の法に従うべきであり、政府及び自治体は米軍関係者の居住実態を把握すべきである。 基地外に居住する米軍関係者の人数等について、政府は米軍から情報提供を受けているか示されたい。情報提供を受けている場合、基地外に居住する米軍関係者の人数について、最新の情報を沖縄県内の自治体ごとにその日付とともに示されたい。情報提供を受けていない場合、その理由を示した上で、前記の米軍関係者による基地外の犯罪及び飼い犬の事件等への対応策・防止策を示されたい。また、自治体が基地外に居住する米軍関係者に関する情報を全く有していない現状について、政府の見解を示されたい。 四 米軍関係者は、日米地位協定の規定により入国審査を受けずに日本に入国することができる。米軍には、前科がある者も入隊できる「特別許可制度」があり、相当数が同制度の恩恵を受けているとの情報もある。米軍入隊時の特別許可制度について、政府が把握している情報を示されたい。 また、一般の入国審査では、前科のある外国人は入国不可となる可能性がある。しかし、特別許可制度によって、前科のある外国人の入国を把握できない状況にある。こうした現状に対する政府の見解を示されたい。さらに、米軍関係者が国内で犯罪を起こした場合、海外における過去の犯罪歴を照会できるか、その手続とともに示されたい。 右質問する。 |