質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第五〇号

高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁と日中平和友好条約との関係に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十一月二十日

辻元 清美


       参議院議長 関口 昌一 殿



   高市内閣総理大臣の「台湾有事」答弁と日中平和友好条約との関係に関する質問主意書

 高市早苗内閣総理大臣は、令和七年十一月七日の衆議院予算委員会において、岡田克也委員の質疑に対し、「先ほど有事という言葉がございました。それはいろいろな形がありましょう。例えば、台湾を完全に中国北京政府の支配下に置くようなことのためにどういう手段を使うか。それは単なるシーレーンの封鎖であるかもしれないし、武力行使であるかもしれないし、それから偽情報、サイバープロパガンダであるかもしれないし、それはいろいろなケースが考えられると思いますよ。だけれども、それが戦艦を使って、そして武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になり得るケースであると私は考えます。」と答弁した。

 しかし、日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(昭和五十三年条約第十九号)第一条第二項は、「両締約国は、前記の諸原則及び国際連合憲章の原則に基づき、相互の関係において、すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないことを確認する。」と規定し、「すべての紛争を平和的手段により解決し及び武力又は武力による威嚇に訴えないこと」が確認されている。高市内閣総理大臣が言う「どう考えても存立危機事態になり得るケース」である「台湾有事」では、「我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態」(自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項第一号)が発生していない。

 高市内閣総理大臣の言う「台湾有事」が、「我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態」であればともかく、「我が国に対する外部からの武力攻撃が発生」していない事態であれば、集団的自衛権の行使を含め、我が国が中華人民共和国に対して武力に訴えることは、同条約に違反するのではないか。

  右質問する。