質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第二五号

高市早苗内閣総理大臣による上野賢一郎厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十月二十八日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   高市早苗内閣総理大臣による上野賢一郎厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示に関する質問主意書

 上野賢一郎厚生労働大臣は令和七年十月二十二日の就任後最初の記者会見で、高市早苗内閣総理大臣から、残業時間の上限を定めた労働時間規制の緩和検討の指示があったと明らかにした。一方で、高市内閣総理大臣が令和七年十月二十四日に行った所信表明演説では労働時間規制の緩和について言及はなかった。

 平成三十一年四月に「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(平成三十年法律第七十一号)が施行され、時間外労働の上限は、月四十五時間、年三百六十時間を原則とし、臨時的で特別な事情がある場合でも単月百時間未満、複数月平均八十時間以内、年七百二十時間を限度に設定されている。これは労働災害認定で業務と過労死等との関連性の評価に用いられる、いわゆる過労死ラインを基準に設けられたものである。

 高市内閣総理大臣が自由民主党総裁に就任後、「私自身もワーク・ライフ・バランスという言葉を捨てます」、「働いて働いて働いて働いて、働いてまいります」と発言したことを受けて、労働団体などから長時間労働是正の取組に逆行するのではないかと懸念の声が上がっている。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 高市内閣総理大臣による上野厚生労働大臣への労働時間規制の緩和検討指示について、具体的な内容を示されたい。

二 上野厚生労働大臣に対して検討を指示しながら、令和七年十月二十四日に行われた所信表明演説においては一言も触れなかった。他の政策よりも優先順位が低いため、又は、十月二十二日に行われた上野厚生労働大臣就任挨拶後、批判の声が多くなったため等が考えられるが、所信表明演説において言及しなかった理由を示されたい。

三 労働時間の規制が更に働きたい人の意欲を奪っているとして、労働時間の規制緩和を歓迎する声もある。更に働きたいと考えている人の大半は、賃金が安いから残業を増やして手取り収入を増やしたいと考えており、賃金が増えれば現状よりも働きたいとは思わないと考える。労働者が更に働きたいと考えている理由を政府は把握しているのか示されたい。把握している場合、その理由を示されたい。

四 時間外労働の上限は、過労死ラインを超えてはならないと考えるが、今後過労死ラインを超えることもあり得るか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。