第219回国会(臨時会)
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質問第二一号 食料品に係る消費税率をゼロ%とする提案に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十月二十七日 牧山 ひろえ
参議院議長 関口 昌一 殿 食料品に係る消費税率をゼロ%とする提案に関する質問主意書 上昇を続ける消費者物価を抑制するため立憲民主党は、食料品に係る消費税率をゼロ%とする措置(以下「食料品消費税ゼロ%」という。)の導入を提案している。現在、物価高に苦しむ国民生活を直接的に救う即効性のある対策が求められている。食料品消費税ゼロ%は、低所得層への再分配効果が高く、消費喚起による景気の底上げにもつながる。税収減少の懸念はあり得るが、景気回復・消費拡大による税収増加も期待できるため、早急に導入を進めるべきと考える。 以下、本提案に対する利害得失について、質問する。 一 消費減税に期待し得る効果について 消費税は逆進性を持つため、低所得層ほど負担が重くなる特徴がある。食料品は生活必需品であり、その消費税負担を軽減することは、低所得層の購買力を向上させる効果がある。これにより、可処分所得が増加し、消費全体の拡大が期待できる。 1 食料品消費税ゼロ%が持つ可処分所得の増加効果や消費全体への波及効果について、政府はどのように評価しているか示されたい。 2 二〇一九年の消費税率十%引上げ時には、同年十月から十二月までの実質GDP成長率が前期比年率マイナス六・三%と大幅に落ち込み、個人消費が冷え込んだ。これを踏まえ、消費税率の引上げには実質GDP成長率や個人消費を引き下げる効果があるとする場合、消費税ゼロ%導入を含む消費税率の引下げには、これらを引き上げる逆の効果があると考えるが、この見解について政府の認識を示されたい。 3 食料品消費税ゼロ%は、他の物価高対策と比較しても物価抑制の確実性が高く、価格低下の有効性という観点からも、大きな効果を期待し得ると考える。この物価抑制の確実性及び効果の大きさという観点から、食料品消費税ゼロ%を上回る施策があると考える場合、その施策を具体的に示されたい。 二 生産者・供給者への効果について 1 食料品消費税ゼロ%については、需要の安定化(家計の購買力維持により、食料品需要の安定化が見込める)、価格転嫁の適正化(税率をゼロ%とすることにより、消費者への価格転嫁が透明化され、価格競争力が向上する)、販売数量の増加(実質的な価格低下により、販売数量の増加が期待でき、生産者全体の売上げが安定化する)につながると考える。 政府は、食料品消費税ゼロ%による生産者・供給者への効果について、どのように評価するか示されたい。 2 食料自給率を向上させるためには、原材料のコスト高が進行する中で、生産者が価格転嫁を適正に行い、生産を継続できる適正な利益を確保する必要がある。同時に、消費者が食料品の価格高騰に苦しまないようにするためには、ある程度リーズナブルな価格水準を維持する必要がある。この一見矛盾する双方の要請を両立するため、食料品消費税ゼロ%の導入が必要と考える。双方の要請を両立する解決策について、政府はどのように考えているか示されたい。 三 給付金との比較について 食料品消費税ゼロ%に関しては、「消費減税よりも低所得層に絞った給付金の方が効果的」との反論がある。給付金は実施までに時間と行政コストを要するが、食料品消費税ゼロ%は全ての消費者に自動的に適用されるため、迅速かつ低コストで実施できると考える。また、給付対象から漏れる者を生まないという公平性の観点からも優れていると考える。食料品消費税ゼロ%と給付金の政策効果の比較評価について、政府の認識を示されたい。 四 経済政策としての意義について 食料品消費税ゼロ%は、福祉政策としての意味合いに止まらず、可処分所得の増加を通じて消費喚起と需要拡大を促し、物価高が経済を萎縮させている現状を根本から変革する画期的な経済政策でもある。食料品消費税ゼロ%を経済成長戦略の一環として位置付けることを政府は検討すべきと考えるが、見解を示されたい。 右質問する。 |