質問主意書

第219回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一五号

物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用したポイント還元・付与事業が物価上昇につながる懸念に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年十月二十一日

石垣 のりこ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用したポイント還元・付与事業が物価上昇につながる懸念に関する質問主意書

 一部の地方公共団体では、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、キャッシュレス決済サービス利用者へのポイント還元・付与事業(以下「当該事業」という。)が行われている。消費者の立場で考えると、ポイント還元・付与により可処分所得の増加に近い効果があることになるため、有益な事業である。

 しかし、小売店や飲食店等の事業者の立場で考えると、現金決済のみの事業者の場合、当該事業の対象にならないため、他店に顧客を取られるおそれがある。一方、キャッシュレス決済サービスに対応する場合、レジ等の機器購入の経費が掛かること、同サービス提供事業者への手数料負担が生じることなどから、不利益が多い事業である。こうした経費及び手数料負担について補助している地方公共団体はごく僅かであり、多くの地方公共団体では補助を行っていない。

 このように、地方公共団体によるポイント還元・付与事業により、キャッシュレス決済サービスを利用する消費者が増加する一方、同サービスによる支払を受ける事業者の利益は手数料等の負担により減少することになる。また、手数料等を価格に転嫁して値上げする事業者が現れる誘因になると考えられ、当該事業がかえって物価高騰を助長することにつながっている可能性がある。つまり、当該事業については、消費者の可処分所得の増加と同等の効果はあるものの、物価高騰を止めるどころか進めるおそれがある。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 キャッシュレス決済サービスの手数料を事業者が価格に転嫁する等により物価が上昇する可能性があるが、当該事業は物価高騰対策としてふさわしい施策と考えるか、政府の見解を示されたい。また、物価高騰対策としての当該事業の効果について、政府の見解を示されたい。

二 前述のとおり、キャッシュレス決済サービスの普及が物価を上昇させている可能性がある。政府として、同サービスを新たに導入した事業者に対し、手数料等を価格に転嫁しているか調査を行ったことがあれば、その結果を示されたい。調査を行っていない場合、調査すべきだと考えるが政府の見解を示されたい。

三 消費者の立場で考えると、キャッシュレス決済サービス利用へのポイント還元・付与は有益な事業である。当該事業を推進する場合、事業者に対してキャッシュレス決済サービスの導入に必要な機器等の経費や手数料を補助する施策も併せて行う必要があると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。