第219回国会(臨時会)
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質問第九号 奨学金受給者の生活実態調査及び奨学金返還負担と少子化との関係に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十月二十一日 山本 太郎
参議院議長 関口 昌一 殿 奨学金受給者の生活実態調査及び奨学金返還負担と少子化との関係に関する質問主意書 認定NPO法人D×Pが実施したアンケート調査によれば、二〇二五年七月時点で給付型奨学金を受けている大学生三百五十四人のうち、物価高の影響により「家計が苦しくなった」と回答した学生は三百二十二人で、全体の九十一%に上った。「食費が増えた」と回答した学生は七十五・七%、「満足した食事を取れていない」と回答した学生は五十六・五%であった。 また、全国大学生活協同組合連合会「第六十回学生生活実態調査概要報告」(二〇二四年十月から十一月に、全国の国公立及び私立大学の学部学生一万千五百九十人を対象に調査実施)によれば、貸与型奨学金受給者のうち、将来奨学金を返還することに不安を「常に感じている」、「時々感じている」と回答した者は六十七・九%に上った。また、アルバイト就労率は、過去十年間で最高の七十六・八%となった。日常生活の中で悩んでいることや気に掛かっていることについては、「生活費やお金のこと」が四十六・八%であり、「授業・レポート等勉学上のこと」を抜き、三年連続で最多となった。 こうした民間による調査からは、奨学金受給者を始めとする学生が物価高の影響により生活に苦しんでいる実態がうかがえる。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 前記の民間による調査は、物価高の影響により生活に苦しむ奨学金受給者に関するデータを提示しているが、全国の奨学金受給者を網羅する調査ではない。 日本学生支援機構は、「学生生活調査」や「奨学金の返還者に関する属性調査」を実施している。しかし、「学生生活調査」の目的は「学生生活状況を把握することにより、学生生活支援事業の充実のための基礎資料を得る」こと、「奨学金の返還者に関する属性調査」の目的は「奨学金返還者の状況を把握し、奨学金回収方策の検討のための基礎資料を得る」ことであり、物価高が奨学金受給者の生活に及ぼす影響及び求められる対策を明らかにするものではない。 民間による調査に任せるのではなく、政府として、物価高が奨学金受給者の生活に及ぼす影響及び求められる対策を調査すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。政府として調査する必要がないと考える場合、その理由を示されたい。 二 日本学生支援機構の貸与型奨学金の返還に苦しむ者を救済するために、政府として当該奨学金の全額返還免除を検討する可能性はあるか示されたい。 三 二〇二三年度文部科学省委託調査「高等教育の教育費負担等に関する調査研究」調査報告書によれば、「大学などの十八歳以降の教育費は、家計にとって大きな負担であり、ほしい数の子供が持てない要因になっている」という考え方について、「とてもそう思う」、「そう思う」との回答が合わせて五十八・二%となった。また、貸与型奨学金を本人が利用した(している)人は、「予定する(現実的な)子供の人数」が「理想とする子供の人数」よりも少ないことが示され、「貸与型奨学金を本人が利用している」ことと「予定する子供の人数が理想とする子供の人数よりも少なくなること」には「相関がある」とされている。 本報告書を踏まえ、政府は、貸与型奨学金の返還が少子化を加速する要因の一つであると考えるか、見解を示されたい。 四 日本学生支援機構の貸与型奨学金の返還を全額免除することが少子化対策として効果的と政府は考えるか、見解を示されたい。 右質問する。 |