第219回国会(臨時会)
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質問第七号 トランプ関税交渉におけるボーイング機大量購入に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十月二十一日 山本 太郎
参議院議長 関口 昌一 殿 トランプ関税交渉におけるボーイング機大量購入に関する質問主意書 米国の関税措置をめぐり、赤澤亮正経済再生担当大臣は二〇二五年九月五日(日本時間)、日米間の合意に基づく投資イニシアティブの大枠について、日米の共通理解を確認するための了解覚書に署名した。また、同日発表された「二〇二五年七月二十二日の日米間の枠組み合意についての共同声明」には、日本が百機のボーイング社製航空機(以下「ボーイング機」という。)を購入すると記載されている。 他方、ボーイング機は、これまで重大事故を繰り返し引き起こしてきた。一九八五年八月十二日に発生した「日本航空一二三便墜落事故(ボーイング七四七SR―一〇〇型機)」では、乗客・乗員五百二十四人のうち五百二十人が死亡し、単独機事故として史上最悪とされている。二〇一八年十月二十九日にインドネシアで発生した「ライオン・エア六一〇便墜落事故(ボーイング七三七MAX八型機)」では、百八十九人が死亡した。二〇一九年三月十日にエチオピアで発生した「エチオピア航空三〇二便墜落事故(ボーイング七三七MAX八型機)」では、百五十七人が死亡した。二〇二二年三月二十一日に中国で発生した「中国東方航空MU五七三五便墜落事故(ボーイング七三七―八〇〇型機)」では、百三十二人が死亡した。二〇二四年十二月二十九日に韓国で発生した「済州航空七C二二一六便事故(ボーイング七三七―八〇〇型機)」では、百七十九人が死亡した。直近では、二〇二五年六月十二日にインドで発生した「エア・インディア一七一便墜落事故(ボーイング七八七型機)」で乗員・乗客二百四十一人が死亡したほか、墜落現場近くにある医科大学の学生寮で事故に巻き込まれ死亡した者もいる。 ボーイング社が重大事故を繰り返してきた中、別の主要航空機メーカーであるエアバス社が世界のジェット機の年間受注機数でボーイング社を圧倒している。日本航空機開発協会によると、二〇二三年の世界のジェット機の受注機数は、ボーイング社が千四百五十六機、エアバス社が二千四百五十四機であり、大きな差が生じている。重大事故の多発を受けて、世界的に航空会社の「ボーイング離れ」が進んでいると考える。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 ボーイング機の事故やトラブルが多発していることを政府は認識した上でボーイング機百機の購入を決定したのか示されたい。 二 重大事故を繰り返すボーイング機を日本は百機購入することとなった一方、米国は関税率を操作するのみであり、今回の日米関税交渉の合意内容は不公正と考えるが、政府の見解を示されたい。不公正ではないと考える場合、その理由を示されたい。 三 日本がボーイング機を百機購入すると決定した算定根拠や交渉経緯を示されたい。 四 ボーイング機百機の購入が何年間にわたって行われるか示されたい。 五 今回の日米合意により購入したボーイング機においてトラブルや事故が発生した場合、損害賠償や事故機に関わる情報公開について、米国政府やボーイング社はどのような責任を負うのか示されたい。また、ボーイング機百機の購入に合意した際、米国政府やボーイング社の賠償責任や情報提供責任を規定する合意を文書で交わしたか示されたい。合意を交わしていない場合、その理由を示されたい。 右質問する。 |