第219回国会(臨時会)
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質問第二号 痛くない乳がん検診に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 令和七年十月二十一日 塩村 あやか
参議院議長 関口 昌一 殿 痛くない乳がん検診に関する質問主意書 我が国における令和三年の女性の乳がん罹患者数は九万八千七百八十二人であり、女性の部位別がん罹患数は乳房が最も多い。乳がんを早期発見、早期治療するためには、乳がん検診の受診が欠かせない。しかし、令和四年国民生活基礎調査によると、女性の乳がん検診受診率は四十七・四パーセントにとどまっている。 厚生労働省は「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」(以下「指針」という。)において、地方公共団体が実施する乳がん検診の方法について、問診及び乳房エックス線検査(以下「マンモグラフィ」という。)を推奨している。しかし、マンモグラフィは検査時の圧迫により痛みを伴うことがあり、受診をためらう声がある。近年、「痛くない乳がん検診」として、ドゥイブス法を用いた非造影の無痛乳がんMRI検診(以下「乳がんMRI検診」という。)が注目されている。乳がんMRI検診は、マンモグラフィと比較して、受診時の痛みがなく、服を脱がずに受診できるなど受診者の負担が少ない上に、高濃度乳房の場合でも病変を発見しやすいとされている。 以上を踏まえて、以下質問する。 一 近年、乳がんMRI検診が注目されており、実施する医療機関が増えていることから、政府として、乳がんMRI検診によるがん発見率を調査し、マンモグラフィやエコー検査によるがん発見率との比較を含めた乳がんMRI検診の有効性に係る調査研究を実施する必要があると考える。調査研究の必要性に係る見解及びこれまで調査研究を実施していない理由を示されたい。 二 日本人女性の高濃度乳房の割合は、四十歳以上の約四割と推測されている。マンモグラフィの画像において病変は白く映ることが多いが、高濃度乳房も白く映るため、病変が見つかりにくいとの指摘がある。高濃度乳房に対するマンモグラフィの有効性に係る政府の見解を示されたい。 三 マンモグラフィと異なり、乳がんMRI検診は高濃度乳房であっても病変が画像に映りやすく、病変を発見しやすい特徴があるとされている。高濃度乳房において病変の見落としを防ぐためには、乳がんMRI検診など、より病変を発見しやすいマンモグラフィ以外の検査の実施が有効だと考えるが、政府の見解を示されたい。 四 彦根市では、乳がんMRI検診の受診費用の全額助成を行うこととし、令和七年六月に予約受付を開始したところ、数日で定員五百人に到達した。これは、乳がんMRI検診への関心やニーズが高いことを表していると考えられる。政府は彦根市の当該事例を把握しているか示されたい。また、乳がんMRI検診の全額助成に対し、短期間で多数の申込みがあったことの要因に係る政府の見解を示されたい。 五 現在、乳がんMRI検診をふるさと納税の返礼品としている地方公共団体が複数ある。また、乳がんMRI検診の受診費用の助成等について、クラウドファンディング型のふるさと納税を活用した地方公共団体もある。こうした取組は、乳がんMRI検診の普及促進、乳がん検診の受診率向上につながると考えられることから、好事例として他の地方公共団体に周知するべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 六 地方公共団体が実施する検診、自己負担での検診、ふるさと納税の返礼品としての検診など、幅広い機会において乳がんMRI検診の普及促進を図り、マンモグラフィ以外の検査法も選択できる環境を整備することが、乳がん検診の受診率向上、乳がんの早期発見・早期治療に寄与するものと考えるが、政府の見解を示されたい。 七 乳がんMRI検診について、将来的に指針へ位置付けることも含め、普及促進に向けた検討を進めるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。 右質問する。 |