質問主意書

第218回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一八第二四号
  令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員青木愛君提出オスプレイの安全性並びにオスプレイを含めた防衛装備品の調達及びプロジェクト管理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青木愛君提出オスプレイの安全性並びにオスプレイを含めた防衛装備品の調達及びプロジェクト管理に関する質問に対する答弁書

一の1について

 令和七年七月二十八日に、木更津駐屯地から佐賀駐屯地へ向けて飛行していた輸送ティルト・ローター機V―二二(以下「V―二二」という。)二機のうち一機については、発電機の異常の有無を確認する点検を促す注意灯が表示されたため、危険を未然に防止するために必要な手段として、徳島駐屯地北徳島分屯地に予防着陸したものであり、その後、当該機体について点検を実施し、飛行の安全に影響する問題がないことを確認したため、飛行を再開し、同日、佐賀駐屯地に着陸したものである。

 また、一般的に、V―二二の注意灯が表示された場合には当該機体の点検を実施することが必要となるが、注意灯が表示されていない機体については、点検を実施することが必要となるものではない。

一の2について

 令和五年十一月二十九日に屋久島沖で発生したティルト・ローター機CV―二二の墜落事故(以下「本件事故」という。)については、令和六年八月二日(日本時間)、米側から、本件事故の状況及び原因に関する事故調査報告書が公表され、本件事故の原因は、「プロップローター・ギアボックスの突発的故障」及び「操縦士の意思決定」とされており、また、お尋ねの「根本原因」については、「初期不具合の証拠を不明確にした二次的な損壊により特定することはできない」と結論付けられていると承知しているが、政府としては、本件事故を受け、米側との間で技術情報に関する前例のない極めて詳細なやり取りを行っており、本件事故の原因に対応した安全対策の一つとして、「屋久島の沖合で発生した米空軍横田基地所属のCV―二二オスプレイの墜落事故に関する事故調査報告書」(令和六年八月防衛省作成)に記載のとおり、「チップ探知機を用いて、全機を対象に運用再開前の予防的点検を行うとともに、維持整備の頻度を増やすことで、PRGBの不具合の予兆を早期に把握」し、「必要に応じPRGBを交換」することとしており、このことにより、引き続き、安全な運用を行うことができると考えていることから、米側に対し、お尋ねの「ギア破損の根本原因の解明」に向けた措置を求める考えはない。

一の3について

 御指摘の報道は承知しているが、オスプレイについては、これまでも、発生した事故等に関する米側や日本側による調査や分析を踏まえ、それぞれが各種の措置を講じ、飛行の安全確保に取り組んできたところであり、令和六年十二月二十日の参議院本会議において、石破内閣総理大臣が「オスプレイの安全性はこれまでも累次の機会に確認をしてきておりますが、引き続き、安全確保には万全を期してまいります。」と答弁しているとおりである。

一の4について

 オスプレイについては、一の3についてで述べたとおりであるところ、御指摘のように「米軍に早期の運用停止を求める」考えはなく、また、「代替品に切り替える」考えもない。

二の1の前段について

 現時点で、Ⅴ―二二を追加で購入する予定はない。

二の1の後段について

 個々の報道を前提としたお尋ねについて、政府としてお答えすることは差し控えたい。

二の2について

 前段のお尋ねについては、防衛力整備計画対象経費(我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法(令和五年法律第六十九号)第一条第三項に規定する防衛力整備計画対象経費をいう。以下同じ。)に係る令和七年度の歳出予算額において、米ドルによる見積額を邦貨に換算して予算に計上した経費(以下「米ドル建て経費」という。)は約一兆四千四百八十九億円であり、これが歳出化経費(前年度以前の国庫債務負担行為に基づき計上した歳出予算額をいう。)と一般物件費(物件費(契約ベース)の総額のうち当該年度の支出予定額をいう。)の合計額に占める割合は、約二十三・七パーセントである。

 後段のお尋ねについては、防衛力整備計画対象経費に係る同年度の歳出予算額のうち米ドル建て経費が占める割合は、約十七・一パーセントである。

二の3について

 前段のお尋ねについては、お尋ねの「全て示されたい」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、米国の有償援助による調達に係る経費や一般輸入による調達に係る経費が含まれる。

 後段のお尋ねについては、お尋ねの「防衛力整備計画の期間内における「歳出予算」」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和五年度から令和七年度までの各年度における当初予算額について、①防衛力整備計画対象経費に係る歳出予算額及び②そのうちの外貨関連経費をお示しすると、それぞれ次のとおりである。

 令和五年度 ①約六兆六千一億円 ②約一兆三百四十一億円

 令和六年度 ①約七兆七千二百四十九億円 ②約一兆五千五百七十二億円

 令和七年度 ①約八兆四千七百四十八億円 ②約一兆五千七百三十六億円

二の4について

 お尋ねの「事業継続の必要性の検討がなされる基準」は、装備品等のプロジェクト管理に関する訓令(平成二十七年防衛省訓令第三十六号。以下「訓令」という。)第十五条第一項における分析及び評価の結果、「取得戦略計画の見直し等について」(平成二十八年四月八日付け装プ事第五千四百二十八号防衛装備庁長官通達別紙。以下「通達」という。)で定める「(1)取得プログラムの目的に変更を及ぼす可能性がある場合」、「(2)年度見積りの単位事業取得コストと現行基準見積りの単位事業取得コストとの比率又は年度見積りの平均量産単価と現行基準見積りの平均量産単価との比率又は年度見積りの単位ライフサイクルコストと現行基準見積りの単位ライフサイクルコストとの比率が一・二五以上である場合」及び「(3)年度見積りの単位事業取得コストと当初基準見積りの単位事業取得コストとの比率又は年度見積りの平均量産単価と当初基準見積りの平均量産単価との比率又は年度見積りの単位ライフサイクルコストと当初基準見積りの単位ライフサイクルコストとの比率が一・五〇以上である場合」のいずれかに該当すると認める場合である。

 また、お尋ねの「計画の見直し検討がなされる基準」は、同項における分析及び評価の結果、通達で定める「(1)取得プログラムの範囲に変更を及ぼす場合」、「(2)年度見積りの単位事業取得コストと現行基準見積りの単位事業取得コストとの比率又は年度見積りの平均量産単価と現行基準見積りの平均量産単価との比率又は年度見積りの単位ライフサイクルコストと現行基準見積りの単位ライフサイクルコストとの比率が一・一五以上である場合」及び「(3)年度見積りの単位事業取得コストと当初基準見積りの単位事業取得コストとの比率又は年度見積りの平均量産単価と当初基準見積りの平均量産単価との比率又は年度見積りの単位ライフサイクルコストと当初基準見積りの単位ライフサイクルコストとの比率が一・三〇以上である場合」のいずれかに該当すると認める場合である。

 さらに、これらの基準は、米国法におけるいわゆる「ナン・マッカーディー条項」を参考としたものである。

二の5について

 お尋ねの「事業が中止された事例」としては、十二式地対艦誘導弾能力向上型(地発型・艦発型・空発型)及び陸上配備型イージス・システムがある。

 なお、訓令第二条第十二号に規定する取得プログラムの中止については、訓令第十七条において、「防衛大臣は、前条に規定する取得戦略計画の見直しの内容によって取得プログラムの目的を果たすことが不可能になる場合のほか、防衛力の整備における事情の変更その他の理由により、当該取得プログラムを中止することが適当と認めるときは、その中止を命ずることとする」とされているほか、通達において、「訓令第十七条に規定する取得プログラムを中止することが適当と認めるか否かについての防衛大臣の判断に資するため、防衛力の整備の観点からの重要性及び優先順位並びに代替案の有無等を考慮し、防衛政策局長、整備計画局長及び関係のある各幕僚長等と調整を行い、取得プログラムの継続の必要性について検討する」ものとされている。