質問主意書

第218回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一八第一五号
  令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員奥田ふみよ君提出老齢労働者及び老齢事業主の窮状に鑑みた基礎年金早期引上げの必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員奥田ふみよ君提出老齢労働者及び老齢事業主の窮状に鑑みた基礎年金早期引上げの必要性に関する質問に対する答弁書

一の前段について

 お尋ねについて、高齢者の生活実態は様々であり、これまで、様々な事情によって保険料を納付できなかったことなどにより、低所得や低年金で生活を送られている方がいることは承知している。

一の後段について

 お尋ねについて、最近では、厚生労働省が令和六年に実施した「国民生活基礎調査」及び令和四年に実施した「老齢年金受給者実態調査」、内閣府が令和六年度に実施した「高齢社会対策総合調査(高齢者の経済生活に関する調査)」等により把握している。

二について

 老齢基礎年金をはじめとした我が国の公的年金制度において、年金額は、御指摘のように「財政検証を待たず、」毎年度、物価変動率(国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第二十七条の二第二項及び厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)第四十三条の二第一項に規定する物価変動率をいう。)、名目手取り賃金変動率(国民年金法第二十七条の二第二項及び厚生年金保険法第四十三条の二第一項に規定する名目手取り賃金変動率をいう。)等を踏まえて改定される仕組みとなっているところである。その上で、老齢基礎年金の考え方等については、令和七年六月五日の参議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣が「老齢基礎年金は老後の生活の柱でございますが、それだけで老後の生活の全てを賄うものではなく、現役世代に構築した生活基盤であったり貯蓄等と組み合わせて老後の生活を送るという考え方に立って給付の設計が行われて」おり、「その上で、様々な事情によりまして低所得であったり無年金、低年金となっておられる高齢者の方々に対しましては、公的年金のみならず社会保障制度全体で総合的に支援していくことが重要でございまして、年金生活者支援給付金の支給などによりまして経済的な支援を行ってまいりたい」と答弁しているとおりであり、御指摘の「最低生活費」の「保障」については、高齢者の状況に応じ、社会保障制度全体で総合的に支援していくこととしている。いずれにせよ、社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和七年法律第七十四号)附則第三条の二第一項において、「政府は、今後の社会経済情勢の変化を見極め、この法律の公布の日以後初めて作成される国民年金法第四条の三第一項に規定する財政の現況及び見通し及び厚生年金保険法第二条の四第一項に規定する財政の現況及び見通しにおいて、国民年金法第十六条の二第一項に規定する調整期間の見通しと厚生年金保険法第三十四条第一項に規定する調整期間の見通しとの間に著しい差異があり、公的年金制度の所得再分配機能の低下により国民年金法による老齢基礎年金(以下この条において単に「老齢基礎年金」という。)の給付水準の低下が見込まれる場合には、老齢基礎年金又は厚生年金保険法による老齢厚生年金・・・の受給権者の将来における老齢基礎年金の給付水準の向上を図るため、国民年金法第十六条の二第一項の調整と厚生年金保険法第三十四条第一項の調整を同時に終了させるために必要な法制上の措置を講ずるものとする。」とされており、同月十二日の同委員会において、石破内閣総理大臣が「今後の社会経済情勢の変化を見極めた上で、仮に経済が好調に推移しない場合には、修正案に規定された法制上の措置等について具体的な内容を検討し、必要な措置を講じてまいりたい」と答弁しているとおり、適切に対応してまいりたい。

三について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、高齢者への支援については、二についてで述べたとおり、公的年金のみならず社会保障制度全体で総合的に支援することとしており、当該支援等の現状が「憲法第二十五条及び憲法第十三条に違反する違憲状態である」とは考えておらず、引き続き適切な支援に努めてまいりたい。