第218回国会(臨時会)
内閣参質二一八第九号 令和七年八月十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員安達悠司君提出憲法を一から考える教育に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員安達悠司君提出憲法を一から考える教育に関する質問に対する答弁書 一について 前段のお尋ねについては、国家の意思を最終的に決定する最高の力としての主権が国民に存することであると考えている。後段のお尋ねについては、御指摘のとおりである。 二及び三について 御指摘の「新たな憲法案」及び「基本的な国の仕組みを一から考え直し、新しい憲法案を提案すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、学校教育においては、小学校学習指導要領(平成二十九年文部科学省告示第六十三号)に基づき、「社会の形成者に必要な公民としての資質・能力」を育成することとし、「日本国憲法の基本的な考え方」や「日本国憲法が国民生活に果たす役割」などについて指導することとしている。また、総務省と文部科学省が連携して作成した高等学校の生徒用の副教材である「私たちが拓く日本の未来」において、「憲法改正国民投票の仕組み」について記載し、高等学校の生徒等に対して配布するなどの取組を行っている。 四について 御指摘の「新たな憲法案について考える教育や提案・判断に向けた教育」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、憲法第九十六条に定める憲法改正の発議や国民投票について教育を行うことは、「日本国憲法第九十九条に矛盾しない」と考えている。 五について 御指摘の「新たな憲法案を主体的に考え、判断・決定する力を育む教育」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「海外における参考事例」については、政府として承知していない。 六について 御指摘の「国民投票のプロセスを体験的に学ぶ取組」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、模擬選挙等の実践的な体験活動を行うことについては、「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」(平成二十七年十月二十九日付け二七文科初第九三三号文部科学省初等中等教育局長通知)において「生徒が国民投票の投票権や選挙権を有する者・・・として自らの判断で権利を行使することができるよう、具体的かつ実践的な指導を行うことが重要」と示しているとおりである。 |