質問主意書

第218回国会(臨時会)

答弁書

内閣参質二一八第三号
  令和七年八月十五日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出フェンタニルを含む薬物問題及び外国勢力による影響工作への国家安全保障上の対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出フェンタニルを含む薬物問題及び外国勢力による影響工作への国家安全保障上の対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、不正薬物の密輸に対しては平素から必要な調査を行っているところであるが、これ以上の詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい。なお、不正薬物の密輸の取締りに関しては、こうした調査も踏まえ、関係国と情報を共有するなど緊密に連携しつつ、都道府県警察、地方厚生局の麻薬取締部及び税関において、個別の事案に応じ、捜査情報等を共有するなど必要な連携を図りながらこれを行っているところである。

二について

 前段のお尋ねについては、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。後段のお尋ねについては、駐日米国大使の「発言」の逐一について政府としてお答えすることは差し控えたい。その上で、政府としては、米国を始めとする関係国や、国連薬物・犯罪事務所といった国際機関と緊密に連携し、世界各地における不正薬物の根絶やサプライチェーンの壊滅に向け、積極的に取り組んでいる。

三について

 お尋ねの「日本がフェンタニル密輸の中継拠点と認識される可能性が国際的にも高まっている」及び「日米同盟の信頼関係及び治安協力体制」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現段階で、フェンタニルをめぐる状況が日米関係に影響を与えるとは考えていない。その上で、米国とは、平素から外交当局を含めた関係当局間で緊密な情報共有を行い、連携してきている。

四について

 前段のお尋ねについては、御指摘の「薬物を戦略的に利用した」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。後段のお尋ねについては、お尋ねの「薬物の流通が国家安全保障に与える影響」の意味するところ及び御指摘の「インテリジェンス機関」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、近年、各国において、不正薬物を取り巻く問題が深刻化していると認識しており、我が国としても、その取締り強化に資する情報収集・分析について関係省庁が連携して対応している。

五について

 お尋ねの「戦略的リスク」の意味するところが必ずしも明らかではなく、また、御指摘の「超限戦」については、個人の著作等に係るものであり、政府として確立した定義を有していないため、お尋ねにお答えすることは困難であるが、一般論として、御指摘の「非軍事的手段による攻撃」については、「国家安全保障戦略」(令和四年十二月十六日閣議決定)において示したとおり、政府としては、「軍事と非軍事、有事と平時の境目が曖昧になり、ハイブリッド戦が展開され、グレーゾーン事態が恒常的に生起している現在の安全保障環境において、サイバー空間・海洋・宇宙空間、技術、情報、国内外の国民の安全確保等の多岐にわたる分野において、政府横断的な政策を進め、我が国の国益を隙なく守る」必要があると認識している。

六について

 お尋ねの「薬物を用いた外国勢力による破壊工作」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねの「国家横断型タスクフォース」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点では、御指摘のような「薬物問題を国家安全保障上の中核課題として位置付け」ることを前提とした政府横断的な新たな体制の創設は検討していない。いずれにせよ、不正薬物に係る問題については、引き続き、関係省庁が連携して対応していく考えである。