第218回国会(臨時会)
内閣参質二一八第二号 令和七年八月十五日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員神谷宗幣君提出SNSにおける言論操作及び政府答弁の整合性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員神谷宗幣君提出SNSにおける言論操作及び政府答弁の整合性に関する質問に対する答弁書 一及び四について 御指摘の「発言」については、政治家個人又は特定の政党の活動に関するものであり、政府としてお尋ねにお答えする立場にない。いずれにせよ、御指摘のように「SNS上の言論環境に対して、組織的かつ恣意的な統制を加えていた」ことはない。 二について 前段のお尋ねについては、御指摘の「発言の趣旨や内容」の詳細については把握していない。 中段のお尋ねについては、御指摘の「一定の政治的影響を及ぼしている」の意味するところが必ずしも明らかではなく、御指摘の「発言」については、政治家個人又は特定の政党の活動に関するものであり、その「趣旨や内容」等について調査を行うことは考えていない。 後段のお尋ねについては、御指摘の「同様の発言や行為」の具体的に意味するところが明らかではなく、いずれにせよ、仮定を前提としたものであり、お答えすることは困難である。 三について 御指摘の「SNS上の投稿削除、表示制限、アカウント停止等」及び「要請・通報・協力などの行為」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではなく、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、御指摘の「政府関係機関」において、プロバイダ等(特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(平成十三年法律第百三十七号。以下「法」という。)第二条第四号に規定する特定電気通信役務提供者をいう。)に対して、法令に基づき御指摘の「要請」、「協力」等を行った事例について、お尋ねの「法的根拠」、「実施時期」、「対象内容」及び「件数」を現時点で把握している範囲でお示しすると、警察庁が、警察法(昭和二十九年法律第百六十二号)第十七条の規定に基づき、令和七年四月から同年六月までの間に、犯罪の実行者の募集であると疑われる情報に係るアカウントの削除の要請を行った件数は八百十四件、同年一月から同年六月までの間に、特殊詐欺等の犯行に利用されたアカウントを把握した上で、当該アカウントを情報提供し、その利用停止や削除の検討を依頼した件数は八千五百六十四件、また、法務省の人権擁護機関が、法務省設置法(平成十一年法律第九十三号)第四条第一項第二十六号及び人権侵犯事件調査処理規程(平成十六年法務省訓令第二号)第十四条第一項第一号の規定に基づき、令和四年一月から令和六年十二月までの間に、SNSを含むインターネット上の人権侵害の情報に係る投稿の削除の要請を行った件数は千六百十件である。 五について 御指摘の「特定の政治的言論や政策批判」の意味するところが明らかではないが、いずれにせよ、「政府」における御指摘の「働きかけ」については、例えば、三についてで述べた人権侵害の情報に係るものがあるところ、これは、差別の解消といった目的を実現するために行っているものであり、「特定の政治的言論や政策批判の抑圧」を意図するものではない。 また、御指摘の「与党」に関するお尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。 六について 御指摘の「要請履歴の記録と開示、報告書の義務化など」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、お尋ねの「透明性確保の仕組み」の「制度化」については、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和六年法律第二十五号)による改正後の法において、御指摘の「SNS」に関するものを含め、大規模特定電気通信役務提供者(法第二条第十四号に規定する大規模特定電気通信役務提供者をいう。)が、「政府」も含む、申出者(法第二十二条第二項第三号に規定する申出者をいう。)からの侵害情報送信防止措置(法第二条第八号に規定する侵害情報送信防止措置をいう。以下同じ。)を講ずることを求める申出の受付の状況、当該申出を受けて行った侵害情報送信防止措置を含む送信防止措置(法第二条第九号に規定する送信防止措置をいう。)の実施状況等について、毎年公表することとしたところであり、法の適切な運用を図ってまいりたい。 また、御指摘の「政党」に関するお尋ねについては、政府としてお答えする立場にない。 七について 御指摘の「SNSへの関与」の在り方については、各国の事情や状況等が異なっていることから、これに係る我が国の制度について、他国と単純に比較することは適切でないと考えている。いずれにせよ、六についてでお答えしたとおり、御指摘の「法制度整備」を行ったところであり、法の適切な運用を図ってまいりたい。 |