質問主意書

第218回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一五号

老齢労働者及び老齢事業主の窮状に鑑みた基礎年金早期引上げの必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年八月四日

奥田 ふみよ


       参議院議長 関口 昌一 殿



   老齢労働者及び老齢事業主の窮状に鑑みた基礎年金早期引上げの必要性に関する質問主意書

 私、奥田ふみよは、過去三年間の政治活動で多くの老齢労働者及び老齢事業主に出会い、「国民年金だけでは生活できないために死ぬまで働かなければならない」という悲痛な声を聴いてきた。以下、老齢者の声の一部を伝える。

 二〇二四年六月、福岡県福岡市下山門団地に住む七十五歳の男性は次のように述べた。「七十二歳まで老体に鞭打って何とか商売を続けてきたが、とうとう身体が利かなくなった。しかし、国民年金も月六万円ちょっと。そこから介護保険料を引かれて、五万円程度しかもらえない。それでどうやって生活しろと言うのだ。俺は毎日死にたいと思いながら働いているが、恐くて死に切れん。事故死できればどんなにいいか。あんた、身体だけは気を付けてや。」

 二〇二三年十月、福岡県糸島市福吉に住む農家の七十七歳の男性は次のように述べた。「農家は生殺し状態や、オラは農政連に騙された。自民党の世話もしてきたが、見てみ、国は農家減らしして、若手にも農家を継がせんことして、農機具も買いたかったら「ローンを組め」と言って、利息まで取るんだ。手元には何も残らん。農家っちゅうのは三百六十五日休みが無いとよ。寝とっても雨や嵐が来たら、田んぼに行かんとばい。農家には個別の所得補償をしっかりせなきゃあかん。主食が食べられないこんな国は亡ぶばい。わしらお爺が農地を持っていたので、それを少しずつ売りながら、やってこれた。農家の仕事をやめられないのは、国民年金が子どものお年玉程度に成り果て、ふざけているばい。」

 二〇二四年十一月、福岡県糸島市福吉で美容院を営む八十五歳の女性は次のように述べた。「四十年前は気概のある自民党議員さんはいた。そういう時代に戻さなければいかん。政治家は国民を守ることが第一の務めやろ。それが今全く成り立っておらん。私は家屋があり、美容院を細々とやっている、美容院をやめれないのよ。やめたら国民年金だけで生活できんもん。ということは私たちは死ぬまで働かなければならない。やめたら老人は死ねと言ってるのと同じよ。国はあまりにも愛がない。」

 二〇二五年七月、佐賀県唐津市で八百屋を営む七十六歳の女性は次のように述べた。「去年まで八百屋をやってきたが、できなくなって店をたたんだ。そうしたら、介護保険料まで引かれて五万円ぐらいしか残らん。私は長男家族と一緒に住んでいるので、嫁さんがご飯を食べさせてくれるので、孫にも囲まれ人間として幸せな生活を送っているけど、この年金では人間として生きるなと言われているのも同然。老後のために税金を納めてきたのよ、保険のために税金を払っておった。これでは保険でも何でもないじゃん。揚げ句の果てに老後の生活費は二千万円かかるから、それを貯めろって。それでは税金を払う必要ないやろう。」

 これらの老齢労働者及び老齢事業主の声を踏まえて、以下質問する。

一 前記のような老齢者の声があることを政府は認識しているか。また、これまで、政府はどのように老齢労働者及び老齢事業主の生活実態を調査して実態把握に努めてきたのか示されたい。

二 数年後の財政検証を待たず、最低生活費を保障できる額になるよう基礎年金支給額を早急に引き上げるべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 真面目に生きてきた老齢者が「毎日死にたいと思いながら働いている」と語る現実は、憲法第二十五条及び憲法第十三条に違反する違憲状態であると考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。