質問主意書

第218回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一二号

イスラエルによる違法なパレスチナ占領政策及び軍事行動を支援する日本企業に対する人権デューデリジェンス強化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年八月一日

伊勢崎 賢治


       参議院議長 関口 昌一 殿



   イスラエルによる違法なパレスチナ占領政策及び軍事行動を支援する日本企業に対する人権デューデリジェンス強化に関する質問主意書

 国際司法裁判所(以下「ICJ」という。)は二〇二四年七月十九日、イスラエルによるパレスチナ占領政策が国際法に違反している旨の勧告的意見を発表した。この意見では、イスラエルによる占領政策が事実上の併合であり、国際人権規約に違反していることを明確に示している。また、国連総会は同年九月十八日、イスラエルに対し、占領地からの撤退を求める決議を採択した。

 一方で、国連人権高等弁務官事務所は、国連人権理事会決議に基づき、イスラエルによる違法な占領政策を直接的又は間接的に支援する企業をリストアップしたデータベースを二〇二〇年に公表し、二〇二三年に更新した。そして、二〇二五年七月の国連特別報告者(フランチェスカ・アルバネーゼ)による報告では、日本の企業がロボット兵器生産への関与で名指しされている。これらの企業の活動は、国際法違反への加担や人権侵害のリスクを伴うものである。

 近年、欧州や米国では企業に対する人権デューデリジェンス(HRDD)の法制化が進んでおり、企業に対しサプライチェーン全体における人権リスクの特定・防止を義務付けている。政府も「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」を策定し、日本企業の人権デューデリジェンスの重要性を強調している。

 以上を踏まえて、以下質問する。

一 イスラエルによる違法な占領政策及び軍事行動を直接的又は間接的に支援している日本企業の実態を把握するための包括的な調査を実施しているか。実施している場合、その結果を公表する予定はあるか示されたい。

二 日本企業がイスラエルによる違法な占領政策に関与するリスクを防止するため、政府として人権デューデリジェンスの実施を義務付ける法制化を検討しているか。検討している場合、具体的な立法措置の進捗状況を示されたい。

三 ICJの勧告的意見を受け、イスラエルによる違法な占領政策を支援する日本企業に対する規制強化や制裁措置について、政府は検討しているか。検討している場合、当該企業に対する規制強化について、国際社会との連携をどのように進めていくか示されたい。

四 日本企業が国際法違反に加担することを防止するため、政府としてどのような啓発活動を行っているか。また、日本企業が自主的に人権デューデリジェンスを強化するための支援を行っているか示されたい。

  右質問する。