質問主意書

第218回国会(臨時会)

質問主意書

質問第一一号

ガザ地区の人道危機を鑑みたパレスチナ国家承認に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和七年八月一日

伊勢崎 賢治


       参議院議長 関口 昌一 殿



   ガザ地区の人道危機を鑑みたパレスチナ国家承認に関する質問主意書

 ガザ地区では、イスラエルによる軍事行動が長期化し、女性や子供を含む多数の犠牲者が発生している。パレスチナ保健省の報告によれば、二〇二五年七月下旬現在におけるガザ地区での死者数は五万九千人を超えるとされ、食糧不足や衛生環境の悪化など、人道状況は危機的な状態にある。また、イスラエルによる軍事行動が「ジェノサイド」であるとの認識が国際社会において広がりつつあり、南アフリカ共和国が国際司法裁判所(ICJ)に提訴するなど、法的な対応も進んでいる。

 政府はこれまで「二国家解決」を支持し、パレスチナへの人道支援を行ってきたが、国家承認については慎重な姿勢を維持している。しかし、ガザ地区での被害状況を鑑みると、パレスチナ国家承認を通じて国際社会における日本の平和構築への貢献を示すことが求められていると考える。

 以上を踏まえ、以下質問する。

一 ガザ地区における民間人犠牲者数が著しく増加している状況を踏まえ、政府はイスラエルに対して、ハマスとイスラエル軍とが対称性のある交戦主体であるという実態からかけ離れた印象を与え得る「停戦」ではなく、イスラエル軍の軍事占領と「国際人道法を完全に無視した軍事行動の停止」を求める具体的な外交的措置を講ずる考えはあるか示されたい。また、イスラエルによる軍事行動が「ジェノサイド」であるとの国際社会における認識に対する政府の見解を示されたい。

二 フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、二〇二五年九月に予定される国連総会において、パレスチナを国家として承認することを正式に表明する考えを明らかにした。ノルウェー、アイルランド、スペインなど他の欧州諸国も、二〇二四年にパレスチナを国家として正式に承認しており、パレスチナを承認する国の数は国連加盟国の約七十五%に達している。日本がパレスチナを国家として承認することは、イスラエルに対する暴力停止の圧力を強めるとともに、国際法の遵守を促進する重要なメッセージになると考えるが、政府の見解を示されたい。

三 ガザ地区での未曾有の人道危機の緊急性を鑑み、日本が最短の時間でパレスチナを国家として承認する手段は閣議決定であると考えるが、政府は閣議決定による国家承認を行う考えはあるか。困難である場合、その理由を示されたい。また、その他の手段がある場合、その具体的手段を示されたい。

  右質問する。