質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二四七号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出いじめ・虐待等に苦しむ子どもたちのSOS相談窓口の乱立問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出いじめ・虐待等に苦しむ子どもたちのSOS相談窓口の乱立問題に関する質問に対する答弁書

一の1について

 御指摘の「いじめ・虐待等のSOSを受け付ける可能性のある国レベルの主要な窓口」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であり、また、お尋ねの「設置根拠」及び「年間相談件数、通告件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これらを設置目的及び相談窓口への入電数(相談窓口に発信された電話のうち、呼出音中に発信者が電話を切るなどにより正常につながらなかった電話を除いた入電数をいう。以下同じ。)と解してお答えすると、例えば、御指摘の「二十四時間子供SOSダイヤル」については、文部科学省が所管し、いじめや学校、家族等に関する悩みを相談できるよう、各都道府県教育委員会及び各政令指定都市教育委員会(以下「各教育委員会」という。)に設置されているものであり、相談窓口への入電数は、把握している直近三年間で、令和四年度が十万三千二百六十五件、令和五年度が十万三百三十三件、令和六年度が九万四千百五十四件である。また、御指摘の「児童相談所虐待対応ダイヤル一八九」については、こども家庭庁が所管し、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者が児童相談所に速やかに通告できるようにするとともに、保護者が子育てに関する相談等ができるよう、各児童相談所に設置されているものであり、相談窓口への入電数は、把握している直近三年間で、令和三年度が八万七百三件、令和四年度が七万五千五百八十八件、令和五年度が七万千四百五十八件となっている。さらに、御指摘の「♯九一一〇」については、警察庁が所管し、国民から寄せられる各種相談に対応できるよう、各都道府県警察本部の総合窓口に設置されているものであり、相談窓口への入電数は把握していない。また、お尋ねの「重複対応件数」については把握していない。

一の2について

 お尋ねのような「情報共有システム」はないが、情報の「具体的な共有」については、例えば、一の1についてで挙げた各教育委員会及び各児童相談所において、両者の間や、市町村等の関係機関との間で、受け付けた事案について、必要に応じて情報共有等が行われているものと承知しており、また、お尋ねの「共有上の課題」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、日頃から関係機関との連携を密にし、必要な情報共有が図られる関係の構築を進めていくことが重要であると考えている。また、お尋ねの「地方自治体レベルの窓口と国の窓口間における同様の課題」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、一の1についてで挙げた「児童相談所虐待対応ダイヤル一八九」を受け付ける各児童相談所とこども家庭庁との間においては、例えば、同庁において児童相談所から児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)等に係る照会等があれば、その内容に応じて必要な助言や情報提供を行っているところであり、今後とも、適切に対応していくこととしている。

二について

 お尋ねのような「具体的事例」及び「省庁間で責任の所在が不明確となり、対応が停滞した事例」は把握していない。

三について

 御指摘のような「指摘」があることは承知しており、御指摘のように「障壁になっている」可能性もあるところ、こうした課題も含め、例えば、令和七年四月八日の衆議院地域活性化・こども政策・デジタル社会形成に関する特別委員会において、三原内閣府特命担当大臣(こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画)が「昨年十一月にこども家庭庁内にこどもの悩みを受け止める場に関するプロジェクトチームを発足いたしまして、悩みを打ち明けられる環境づくりの課題、大人に求められる対応、そうしたことを明らかにするため、支援団体等との積極的な意見交換も重ねているところでございます。令和七年度以降も、引き続きプロジェクトチームにおいて幅広く実態把握を行っていく」と答弁しているとおり、こども家庭庁内に同庁職員をメンバーとする「こどもの悩みを受け止める場に関するプロジェクトチーム」を立ち上げ、実態把握等を行っていくこととしているところ、同庁が令和七年五月二十三日に公表した「こどもの悩みに寄り添える社会に向けて(中間報告)」(以下「中間報告」という。)において、「令和七年度以降も、こどもの悩み相談に関する国内外の先行研究(文献・調査)を収集し、効果や課題等を整理するなどの取組を進めるとともに、・・・更なる実態の把握・・・を行っていきます」としており、引き続き、同庁において、これに基づき、こども(こども基本法(令和四年法律第七十七号)第二条第一項に規定するこどもをいう。以下同じ。)の悩みを受け止める際の実態の把握を行い、これを踏まえ、必要な取組を行ってまいりたい。

四について

 御指摘の「より統合的でシームレスなSOS対応システム」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一の2についてで述べたとおり、例えば、一についてで挙げた各教育委員会及び各児童相談所において、両者の間や、市町村等の関係機関との間で、受け付けた事案について、必要に応じて情報共有が行われているものと承知しているところ、例えば、日頃から関係機関との連携を密にし、必要な情報共有が図られる関係の構築を進めていくことが重要であると考えている。

五の1及び2について

 お尋ねの「可能性」及び「その影響」の可能性もあると考えており、こども家庭庁では、三についてで述べた実態把握を行うとともに、多様な主体が設置する相談窓口等の周知も含めた、こどもの悩みの受け止め方に関する広報活動に取り組んでまいりたい。

五の3及び4について

 お尋ねについては、中間報告において、こどもが悩みや不安を相談したい相手は「こどもによって希望は様々」であること等から、こどもが安心して悩みを打ち明けられる環境を作るためには「こどもが頼ることができる先を、・・・こどもが選べるようにすることが必要」であり、「こどもが頼ることができる先があることをこどもに知ってもらうことが重要」としているとおり、こどもがそれぞれの希望に応じて相談先を選択することができるよう、多様な相談窓口が存在することが必要であると考えており、御指摘のように「統一した番号を創設すべき」とは考えていない。