質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二四四号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出地方自治体と台湾の関係に係る政府の認識及び日台関係の在り方に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出地方自治体と台湾の関係に係る政府の認識及び日台関係の在り方に関する質問に対する答弁書

一について

 台湾との関係に関する我が国の基本的立場は、昭和四十七年の日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(以下「日中共同声明」という。)第三項を踏まえ、非政府間の実務関係として維持するというものであり、御指摘のような「地方自治体である長崎市が主催する式典」に誰を招待するかについては、これまでも主催者たる地方自治体が判断してきているものと承知している。また、御指摘の「長崎市が主催する式典に、台湾政府の高官や官僚、台北駐日経済文化代表処の関係者を招待すること」を前提としたお尋ねについては、政府としてお答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、我が国の入国管理については、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)に基づき、引き続き適切に判断していく。

二について

 政府として、御指摘のような「駐日中華人民共和国大使館又は総領事館」が「地方自治体へ抗議を行ってきた例」が複数あることは把握しており、当該地方自治体とのやり取りを含めて、政府として適切に対応しているが、これ以上の詳細については、事柄の性質上、お答えすることは差し控えたい。

三について

 お尋ねについては、先の答弁書(令和七年三月十一日内閣参質二一七第四九号)三について等で答弁したとおりであり、国会等の場において、こうした考え方について説明してきているところである。

四について

 お尋ねの「在留許可など何らかの便宜供与」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、政府としては、出入国管理及び難民認定法に基づき、御指摘の「台北駐日経済文化代表処を始めとする日本に駐在する台湾日本関係協会の職員等」に対し、必要な在留資格を付与している。

 また、お尋ねの「外務省による登録やナンバープレート発給に準じた措置」の意味するところが必ずしも明らかではないが、外交官等が所有する車両のナンバープレートについては、令和四年十月二十六日の衆議院外務委員会において、林外務大臣(当時)が「国土交通省が発給する一般のナンバープレートと異なり・・・、外交のナンバープレートは、外交関係に関するウィーン条約、領事関係に関するウィーン条約、特権免除条約・協定で規定されました財産の不可侵及び課税の免除を担保するために、外務省が、外務省設置法に基づいて、外交使節団、領事館及び国際機関の駐日事務所に対してナンバープレートを発給しているもの」であり、「台湾について」は、「非政府間の実務関係として維持していくということが我が国の基本的立場でございます。」と答弁しているとおりである。

五について

 お尋ねの「指示・通知」は存在していない。

六について

 個別の報道の内容を前提とするお尋ねについて、政府として逐一お答えすることは差し控えたい。

七について

 お尋ねの「法的保証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、台湾に関する我が国政府の立場は、日中共同声明第三項にあるとおり、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」との中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するというものである。

八について

 お尋ねの個別具体的な役職の設置の要否を含め、今後の外務省の機構に係る政府内部の検討について、予断をもってお答えすることは差し控えたいが、御指摘の「企画官ポスト」の設置については、台湾関連の問題に関する業務が著しく増加している中で、情報収集・分析、政策立案、対外発信等をより機動的に行えるようにしたものであり、引き続き、当該「企画官ポスト」は必要なものであると考えている。

九について

 公益財団法人日本台湾交流協会においては、昭和四十七年の同協会の設立以降、休職した我が国の国家公務員が複数勤務していると承知しているが、お尋ねの「現職の自衛官が日本台湾交流協会に出向している事実があるか」及び「出向している人数及び出身省庁の内訳」といった同協会の組織体制の詳細については、民間の団体の運営に関する情報であり、同協会として、これまで対外的に明らかにしていないと承知していることから、政府としてお答えすることは差し控えたい。

 また、お尋ねの「取決め」は存在しない。

十について

 我が国は、令和七年二月七日(現地時間)付けの日米首脳共同声明や同年三月十四日(現地時間)付けのG7外相声明等において、「国際機関への台湾の意味ある参加への支持」(仮訳)をしてきており、我が国の台湾に関する基本的立場を踏まえつつ、国際刑事警察機構を含め、それぞれの国際機関に台湾が参加することの意義等を総合的に踏まえてこれに対応していくとの立場である。

 また、お尋ねの「ICPOにおける協力とは別に実務的な協力関係を構築」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、警察においては、台湾との間で、国際刑事警察機構事務総局を通じて必要な捜査協力を行っている。

十一及び十二について

 お尋ねについては、例えば、令和六年十二月十八日の衆議院外務委員会において、岩屋外務大臣が「加入要請を提出したエコノミーの扱いについては、他の締約国ともよく相談する必要がございますので、我が国としては、戦略的な観点、それから国民の理解、そういったことも踏まえながら適切に対応していきたいと思っております。」と答弁しているとおりである。

十三について

 お尋ねの「台湾との国交を「断交した」とされる法的根拠」及び「いかなる法的行為に基づいて台湾との国交が消滅したと認識しているのか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、昭和四十七年九月二十九日の記者会見において、大平外務大臣(当時)が「日中関係正常化の結果として、日華平和条約は、存続の意義を失い、終了したものと認められる、というのが日本政府の見解でございます。」と述べているとおりである。

十四について

 台湾に関する我が国政府の立場は、日中共同声明第三項にあるとおり、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」との中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重するというものであることから、御指摘の「台湾の国籍を有する者、すなわち台湾人」に関するいずれのお尋ねについてもお答えすることは差し控えたい。

 なお、一般論として申し上げれば、国籍法(昭和二十五年法律第百四十七号)第四条第一項の規定により、「日本国民でない者・・・は、帰化によつて、日本の国籍を取得することができる。」とされ、また、原則として、同法第五条第一項第五号の規定により、「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべき」場合でなければ、帰化を許可することができないとされている。

十五について

 お尋ねの「年表」を含む外務省ウェブサイトの「国・地域別に見る日本の国際貢献データ」の項目については、平成二十八年に、当時の政策遂行上の必要性等を総合的に考慮した上で作成した「日本の平和国家としての歩み」という項目の中に掲載したものであるが、現時点においては、お尋ねの「年表」を含め、「日本の平和国家としての歩み」を更新することは予定していない。

十六について

 御指摘の報道のような事実はない。

十七について

 台湾は、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、東日本大震災に際しての台湾からの多大な支援及び新型コロナウイルス感染症の流行に際しての台湾からの時宜を得た支援に対しては、我が国として深く心から感謝しているところである。