第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二四〇号 令和七年七月一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員水野素子君提出無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員水野素子君提出無人戦技術及び防衛予算の配分に関する質問に対する答弁書 一について 中華人民共和国は、多種多様な無人機の開発を進めているとみられ、我が国周辺における無人機の活動の活発化も確認されている。このような開発動向や活動を含め、同国の軍事動向等については、「国家防衛戦略」(令和四年十二月十六日閣議決定)に記載されているとおり、「我が国と国際社会の深刻な懸念事項」であると考えている。 二及び三について お尋ねについて、「国家防衛戦略」においては、「これまでの航空侵攻・海上侵攻・着上陸侵攻といった伝統的なものに加えて・・・宇宙・サイバー・電磁波の領域や無人アセットを用いた非対称的な攻撃、核保有国が公然と行う核兵器による威嚇ともとれる言動等を組み合わせた新しい戦い方が顕在化している。」としている。また、同戦略において、「無人アセットは、有人装備と比べて、比較的安価であることが多く、人的損耗を局限し、長期連続運用ができるといった大きな利点がある。さらに、この無人アセットをAIや有人装備と組み合わせることにより、部隊の構造や戦い方を根本的に一変させるゲーム・チェンジャーとなり得ることから、空中・水上・水中等での非対称的な優勢を獲得することが可能である。」とし、「二千二十七年度までに、無人アセットを早期装備化やリース等により導入し、幅広い任務での実践的な能力を獲得する。特に、水中優勢を獲得・維持するための無人潜水艇(UUV)の早期装備化を進める。」、「今後、おおむね十年後までに、無人アセットを用いた戦い方を更に具体化し、我が国の地理的特性等を踏まえた機種の開発・導入を加速し、本格運用を拡大する。さらに、AI等を用いて複数の無人アセットを同時制御する能力等を強化する。」としているところである。 四について 御指摘の「段階的にシフトする」の意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年四月二日の衆議院安全保障委員会において、木原防衛大臣(当時)が「防衛省・自衛隊としては、国家防衛戦略等にあるとおり、無人アセット防衛能力を強化することにより、隊員に対する危険や負担を局限しつつ、万一抑止が破られた場合に、空中、水上、海中等における非対称な優勢の確保に資する能力を獲得することとしており、令和五年度から令和九年度までの五年間で、合計約一兆円の経費を計上する計画であります。」と述べているとおり、政府としては、この「無人アセット防衛能力」に必要な予算を計上していく考えである。 |