第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二三八号 令和七年七月一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員小西洋之君提出薬価改定の課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員小西洋之君提出薬価改定の課題に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねについては、令和六年度の医薬品価格調査の結果や、中央社会保険医療協議会薬価専門部会において令和六年八月及び十二月に実施された関係団体からのヒアリングを含め、同協議会における御指摘の「中間年改定」に係る議論等も踏まえ、同月二十日に内閣官房長官、財務大臣及び厚生労働大臣の間で合意した「令和七年度薬価改定について」において、「国民負担軽減の観点はもとより、創薬イノベーションの推進や医薬品の安定供給の確保の要請にきめ細かく対応する観点から、品目ごとの性格に応じて対象範囲を設定することとする」等としつつ、「実施する」としているとおりである。 二について お尋ねについては、令和七年五月八日の参議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣が「いわゆるドラッグロスにつきましては、御指摘いただきました薬価だけではなくて、研究開発から薬事承認までのプロセスであったり、当然薬価も含めてですが、各段階で様々な要因があるというふうに考えておりまして、必要に応じた見直しを検討していく必要があるというふうに思います。(中略)薬価改定につきましては、創薬イノベーションの推進、医薬品の安定供給の確保、国民の負担の軽減といった要請についてバランスよく対応する観点から、中医協において議論がなされ、その中では、外国の製薬団体を含めた関係団体からのヒアリングも実施した上で、透明性のある公開の場で検討が進められたものと承知をしております」と答弁しているところ、御指摘の「中間年改定」を含め、薬価改定に当たっては、透明性のある公開の場で検討が進められており、御指摘の「予見性」の「確保」を図りながら実施してきたところであり、また、御指摘の「要因」については、「中間年改定」を含め、薬価改定に限らず、様々なものがあると考える。 三について お尋ねについては、厚生労働省の「賃金引上げ等の実態に関する調査」によると、「製造業」のうち「医薬品製造業」を含む「化学・石油・石炭・プラスチック」及び「卸売業、小売業」のうち「医薬品卸売業」を含む「卸売業」における「一人平均賃金の改定率」の推移は、それぞれ、令和二年で二・二パーセント及び一・九パーセント、令和三年で一・九パーセント及び一・七パーセント、令和四年で二・三パーセント及び二・一パーセント、令和五年で三・一パーセント及び二・九パーセント、令和六年で四・四パーセント及び四・〇パーセントとなっている。 四について 医薬品産業における賃上げについては、様々な要因を踏まえて行われるものであることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。 五及び六について 薬価制度の在り方については、「経済財政運営と改革の基本方針二〇二五」(令和七年六月十三日閣議決定)において、「国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立する薬価上の適切な評価の実施」とされていることや、医薬品の安定供給の確保の観点も踏まえ、今後、中央社会保険医療協議会において検討することとしており、お尋ねについて、現時点でお答えすることは困難である。 なお、御指摘の「医薬品の不採算」について、令和七年度薬価改定においては、「令和七年度薬価改定の骨子」(令和六年十二月二十五日中央社会保険医療協議会了解)において、「組成、剤形区分及び規格が同一である類似薬の市場実勢価格の薬価に対する乖離率の平均が全ての既収載品の平均乖離率を超える品目(厚生労働大臣が増産要請を行った品目を除く)」を除き、「急激な原材料費の高騰、安定供給問題に対応するため、医療上の必要性が特に高い品目を対象として不採算品再算定を臨時・特例的に適用する」とされたことを踏まえ、「薬価算定の基準について」(令和七年二月十九日付け保発〇二一九第一号厚生労働省保険局長通知別添)の「第三章 既収載品の薬価の改定」の「第七節 低薬価品の特例」の「二 不採算品再算定」等に定める要件に該当する場合には、薬価の引き上げを行ったところである。 |