質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二三六号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出難民認定制度の濫用防止及び審査体制の適正化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出難民認定制度の濫用防止及び審査体制の適正化に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、国会において行われた参考人質疑における参考人の発言に関するものであり、政府としてお答えすることは差し控えたい。

二について

 前段のお尋ねについては、地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。)における振り分けの段階で明らかに誤用・濫用的な案件として振り分けられたB案件又はC案件(「難民認定等事務取扱要領」(平成十七年五月十三日付け法務省管総第八百二十三号法務省入国管理局長通知別添)に「B案件」又は「C案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)の数は、B案件については、令和三年が三十三件、令和四年が三十八件、令和五年が百十一件であり、C案件については、令和三年が千百九十六件、令和四年が千百三十一件、令和五年が千五百七件である。

 後段のお尋ねについては、例えば、平成三十年六月二十八日の参議院内閣委員会において、政府参考人が答弁したとおり、「借金問題のような難民条約上の迫害事由に明らかに該当しない事情を申し立てるなど濫用、誤用的な申請を行っている申請者」が挙げられる。

三について

 前段のお尋ねについては、令和六年に難民と認定した者(審査請求(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二の十二第一項の審査請求をいう。)手続において認定した者を含む。)百九十人のうち、三回目以降の難民認定申請(入管法第六十一条の二第一項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)に対して難民と認定したものの数は二人(速報値)であり、その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、お尋ねのような「検証・分析」は行っていない。

四について

 お尋ねの「難民認定申請数」の変動の背景には様々な要因が影響すると考えられることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

五について

 前段のお尋ねについては、「ブローカーや書類代行業者による制度濫用の実態」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが二についてで述べたB案件又はC案件に振り分けられた難民認定申請に「ブローカーや書類代行業者」が関与したものを意味するものであるとすれば、お尋ねについては、政府として把握していない。

 後段のお尋ねについては、その意味するところが明らかではないため、お答えすることが困難である。

六について

 前段のお尋ねについては、「現在の配置状況」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、難民審査参与員について、令和七年四月一日現在の法務省に置かれている数は百六人であり、「出入国在留管理庁の審査担当職員」について、同日現在の難民調査官に指定されている者の数は四百十人である。「一人当たりの平均処理件数」については、統計をとっておらず、また、「業務負担の現状」については、その意味するところが明らかではないため、いずれもお答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、国家公務員全体の定員の削減が求められている中で、適正な出入国在留管理行政の遂行のため、必要な人員の確保に努めてきたところであり、今後とも必要な人員の確保に努めてまいりたい。