質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二三三号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員水野素子君提出オンライン精神療法の安全性及び指針違反事例への行政対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野素子君提出オンライン精神療法の安全性及び指針違反事例への行政対応に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の「指針違反事例」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、お尋ねが「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」(令和二年四月十日付け厚生労働省医政局医事課及び医薬・生活衛生局総務課連名事務連絡)に基づく「初診からの電話や情報通信機器を用いた診療」の「実施状況の報告」(以下「実施状況報告」という。)において、同事務連絡に定める「新型コロナウイルス感染症が拡大し、医療機関の受診が困難になりつつあることに鑑みた時限的・特例的な対応として」の「電話や情報通信機器を用いた診療や服薬指導等の取扱い」に関して、令和五年一月から同年三月までの期間における「特例措置の要件を守らない処方」の件数を問うものであれば、当該件数は千七百四十件であり、このうち、お尋ねの「オンライン精神療法に該当する件数」は把握していない。また、実施状況報告において、同期間に「特例措置の要件を守らない処方」を行ったことが確認された医療機関数は百五十六件であり、このうち、お尋ねの「精神科を標榜する医療機関数」は把握していない。

三の前段について

 お尋ねの「直近の調査における指針違反事例の件数」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、実施状況報告における「特例措置の要件を守らない処方」が行われた事例に関して、厚生労働省が把握している直近の令和五年十二月から令和六年三月までの件数は五百五十五件である。

三の中段及び後段について

 中段のお尋ねについては、御指摘の「研修指導」の意味するところが明らかではないが、各都道府県や保健所等が実施した行政指導や立入検査等の「件数、内容及びその後是正された割合」については、網羅的に把握していないため、お答えすることは困難である。

 後段のお尋ねについては、各都道府県や保健所等が実施した行政指導や立入検査等の件数等を把握しておらず、また、「十分に機能」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難であるが、御指摘の「オンライン精神療法」を含む医療機関による「オンライン診療」の実施については、個々の事案の内容に応じて、各都道府県や保健所等において適切に指導等が行われているものと承知している。

四について

 御指摘の「研修プログラム」については、「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(平成三十年三月三十日付け医政発〇三三〇第四十六号厚生労働省医政局長通知別紙。以下「オンライン診療指針」という。)において「オンライン診療の実施に当たっては、医学的知識のみならず、情報通信機器の使用や情報セキュリティ等に関する知識が必要となる。このため、医師は、オンライン診療に責任を有する者として、厚生労働省が定める研修を受講することにより、オンライン診療を実施するために必須となる知識を習得しなければならない」としていることに基づき実施している。一方で、御指摘の「精神療法に係る指針」については、令和四年度障害者総合福祉推進事業「情報通信機器を用いた精神療法を安全・適切に実施するための指針の策定に関する検討」の報告書において、「精神科を担当する医師が実施する精神療法」を対象として公表されたものであり、精神療法に特化した内容が記載されている。このため、オンライン診療指針において、診療科を問わず、御指摘の「オンライン診療」を実施する全ての医師が習得しなければならないとしている「オンライン診療を実施するために必須となる知識」とは考えておらず、御指摘の「研修プログラム」について「精神療法に係る指針の内容を反映させる必要がある」とは考えていない。いずれにしても、「オンライン精神療法」の在り方については、令和七年六月四日の衆議院厚生労働委員会において、政府参考人が「現在、好事例の収集でございますとか、具体的な活用法に関する調査研究を行っております。今後、その研究成果なども踏まえながら、当事者も含めた関係者の御意見を伺いながら、良質かつ適切な精神医療の提供の確保、診療の質の確保であるとか医療機能の連携とか、そういった観点も含めて検討を進めてまいりたい」と答弁したとおりである。