質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二二六号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員水野素子君提出離婚後の養育費・教育費に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員水野素子君提出離婚後の養育費・教育費に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「具体的にどのような意味か」の趣旨が必ずしも明らかではないが、民法等の一部を改正する法律(令和六年法律第三十三号)による改正後の民法(明治二十九年法律第八十九号。以下「改正後民法」という。)第八百十七条の十二第一項の規定は、「子が自己と同程度の生活を維持することができるよう扶養しなければならない」とするところ、その場合における子の監護に要する費用をどのように分担するかは、父母の収入等の個別具体の事情を考慮して、父母の協議又は裁判所の審判等により定められるものである。

 また、お尋ねの「子が大学を卒業するまでの教育費等の負担」及び「離婚後に親が負担すべき教育費の算定」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、加えて、離婚後の父母間における子の監護に要する費用の具体的な分担については、改正後民法第七百六十六条第一項において、父母間で協議して定めるものとされており、また、同条第二項において、父母間で協議が調わない場合等には裁判所の審判等で定められることになるところ、この場合における子の監護に要する費用の具体的な分担の在り方については、個別具体的な事案に応じて裁判所において判断されるものであることから、政府としてお答えすることは困難である。

二の前段について

 一についてで述べたとおり、改正後民法第八百十七条の十二第一項の場合における子の監護に要する費用をどのように分担するかは、父母の収入等の個別具体の事情を考慮して、父母の協議等により定められるものである。

 他方で、改正後民法第七百六十六条の三第一項の規定は、「父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをすることなく」離婚した場合であっても、その子の監護に要する費用として一定額の支払を請求することができる旨を定めている。この請求は、父母が子の監護に要する費用の分担についての定めをしなかった場合に、父母の収入等の個別具体の事情を考慮することなく、することができるものであることから、同項は、その額を「子の監護に要する費用の分担として、父母の扶養を受けるべき子の最低限度の生活の維持に要する標準的な費用の額その他の事情を勘案して子の数に応じて法務省令で定めるところにより算定した額」としているものである。

二の後段について

 お尋ねの「子の利益を最も優先した上で算定」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。なお、改正後民法第七百六十六条の三第一項の規定の趣旨は、二の前段についてで述べたとおりである。