第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二二三号 令和七年七月一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員水野素子君提出新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員水野素子君提出新型コロナウイルス感染症に係るワクチン接種事業に関する質問に対する答弁書 一について お尋ねの「これまでに同事業に投じられた国家予算」の具体的に指し示す範囲が明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、御指摘の「会計検査院報告(二〇二三年三月二十九日)」における「ワクチン接種事業」として予算計上されている「事業」のうち、「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」に係るものを除いたものについて、令和二年度から令和六年度までの間に予算計上した額の総額は約五兆九千九百五十三億円であり、また、同交付金については、「ワクチン接種事業」以外にも充てられているところ、令和三年度は同交付金に係る予算額約二兆千百三十三億円のうち、「ワクチン接種事業」に係るものとして約五千三百八十八億円を計上し、令和四年度及び令和五年度は、同交付金に係る両年度の予算額の合計額約三兆六千九百六十三億円を計上しているところであるが、「ワクチン接種事業」に係るものとして区分して算出していない。 二について お尋ねの「副反応の認定件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)に基づく予防接種健康被害救済制度において、疾病、障害又は死亡が同法に基づく新型コロナウイルス感染症に係る予防接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定した件数は、令和六年度末時点で、九千三十一件となっている。 また、御指摘の「副反応の発生頻度」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同制度におけるお尋ねの「他のワクチン」との「比較」に関しては、令和六年二月十三日の閣議後記者会見において、武見厚生労働大臣(当時)が「新型コロナワクチンと他のワクチンでは接種頻度や接種対象者等が異なることから、健康被害救済制度の認定件数を単純に比較することは適切ではないと考えます」と述べたとおりである。 三について 御指摘の「副反応の原因究明」を「副反応」の発生の機序の「究明」と解すれば、「副反応」については、発生の機序の「究明」や「分析」を行っているのではなく、その発生に対して、報告を基に評価を行い、必要な安全対策を講ずることとしているところ、具体的には、新型コロナワクチンの接種を受けたことによるものと疑われる症状について、予防接種法第十二条第一項の規定により、医師等から厚生労働大臣に報告されているほか、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第六十八条の十第一項及び第二項の規定により、新型コロナワクチンの製造販売業者等から同大臣に報告されているところ、新型コロナワクチン接種の開始以降、これらの制度により収集した情報等に基づき、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会及び薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(以下「合同部会」という。)において評価を行うこととしており、直近では、令和七年四月十四日に開催された合同部会において、「新型コロナワクチンの副反応疑い報告状況について」等が議論され、「ワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められない」と評価されているところである。 |