質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第二一四号
  令和七年七月一日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出政府が行う推計と実績の乖離要因分析の必要性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出政府が行う推計と実績の乖離要因分析の必要性に関する質問に対する答弁書

一及び二の1について

 「二千四十年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(平成三十年五月二十一日経済財政諮問会議提出。以下「社会保障の将来見通し」という。)においては、御指摘の「経済:ベースラインケースかつ計画ベースの場合」、令和七年度においては、社会保障給付費が「百四十・二~百四十・六兆円」、社会保障給付費の対GDP比が「二十一・七~二十一・八パーセント」と示している。

 また、御指摘の「二○二四年度の社会保障給付費(予算ベース)」(以下「二○二四年度社会保障給付費」という。)は百三十七兆八千億円、二○二四年度社会保障給付費の対GDP比は二十二・四パーセントである。

 その上で、社会保障の将来見通しについては、「留意事項」として、「本見通しは、一定の仮定をおいて行ったものであり、結果は相当程度の幅をもってみる必要がある。特に、長期の推計であるため、長期間の人口変動の動向とこれが経済社会に与える影響、経済、雇用の動向、給付単価の伸び率の動向等が、給付費の総額や対GDP比等の結果に大きな影響を与える可能性があることに留意する必要がある」としており、また、「将来見通しの位置付け」として、高齢者人口がピークを迎える「二千四十年頃を見据え、社会保障給付や負担の姿を幅広く共有するための議論の素材を提供する」とし、国民的議論を喚起することを目的としたものであるため、両者を単純に比較することは適当ではないと考えており、お尋ねの「差異」の算出は行っておらず、また、御指摘のような「分析」及び「検証・評価」は行っていない。

二の2について

 御指摘のように「定期的に検証」することについては、一及び二の1についてで述べたとおりであり、考えておらず、また、例えば、社会保障の将来見通しにおいては、「人口・経済の前提、方法等」として、「人口前提」は、「国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成二十九年推計)」(出生中位(死亡中位)推計)」、「経済前提」は、「二千二十七年度までは、内閣府「中長期の経済財政に関する試算」(平成三十年一月)等、二千二十八年度以降は、公的年金の平成二十六年財政検証に基づいた前提値」を用いるとともに、「将来見通しの作成方法(全般的考え方)」は、「公的年金」、「医療、介護」、「子ども・子育て」及び「上記以外」ごとに、各制度における適宜の内容等を基に推計しているところ、御指摘の「次回以降の推計」についても、こうした適宜の客観的な推計等を用いながら推計することが適切であると考えており、御指摘のような「制度化」は考えていない。

三の1について

 お尋ねの「当該推計を基に導入・実施」及び「再評価や財政的再設計」の意味するところが必ずしも明らかではないが、社会保障の将来見通しは、一及び二の1についてで述べたとおり、「一定の仮定をおいて行ったものであり、結果は相当程度の幅をもってみる必要があ」り、また、高齢者人口がピークを迎える「二千四十年頃を見据え、社会保障給付や負担の姿を幅広く共有するための議論の素材を提供する」とし、国民的議論を喚起することを目的としたものであるところ、各政策については、この社会保障の将来見通しのみをもって企画立案されるものではなく、また、各政策の評価や再検討等は個別具体の課題に応じて適切に行われるものであると考えている。

三の2について

 社会保障の将来見通しにおいては、御指摘の「前提条件の明示」に関して、「人口前提」、「経済前提」等の「前提条件」を「明示」し、また、御指摘の「不確実性の注記」に関して、一及び二の1についてで述べたとおり、「留意事項」として、「本見通しは、一定の仮定をおいて行ったものであり、結果は相当程度の幅をもってみる必要がある。特に、長期の推計であるため、長期間の人口変動の動向とこれが経済社会に与える影響、経済、雇用の動向、給付単価の伸び率の動向等が、給付費の総額や対GDP比等の結果に大きな影響を与える可能性があることに留意する必要がある」としているところであり、引き続き、御指摘の「今後の社会保障給付費に関する推計」に当たっては、こうした「明示」等を行い、「推計の信頼性・透明性を高め」ながら取り組んでまいりたい。