第217回国会(常会)
内閣参質二一七第二一一号 令和七年七月一日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出介護支援専門員の担当件数の上限及び根拠等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出介護支援専門員の担当件数の上限及び根拠等に関する質問に対する答弁書 一の1について お尋ねについては、平成十七年十二月十三日に開催された社会保障審議会介護給付費分科会において取りまとめられた「平成十八年度介護報酬改定に関する審議報告」において、「ケアマネジメントの質を確保する観点から、・・・標準担当件数を一定程度超過する場合については逓減を行いつつ、ケアマネジャー一人当たりの標準担当件数を引き下げる」とされたことを踏まえ、平成十八年厚生労働省告示第百二十四号により指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十号)の一部を改正し、導入することとしたものである。 一の2について お尋ねの「令和三年度」の「報酬改定」により、「四十五件」「までの算定が可能となった緩和措置の要件」については、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和三年厚生労働省告示第七十三号)において、「情報通信機器(人工知能関連技術を活用したものを含む。)の活用又は事務職員の配置を行っている」場合と示しているとおりであり、お尋ねの「令和六年度」の「報酬改定」により、「五十件」「までの算定が可能となった緩和措置の要件」については、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の一部を改正する告示(令和六年厚生労働省告示第八十六号)において、「公益社団法人国民健康保険中央会(昭和三十四年一月一日に社団法人国民健康保険中央会という名称で設立された法人をいう。)が運用及び管理を行う指定居宅介護支援事業者及び指定居宅サービス事業者等の使用に係る電子計算機と接続された居宅サービス計画の情報の共有等のための情報処理システムの利用並びに事務職員の配置を行って」いる場合とお示ししているとおりである。また、お尋ねの「対象事業所数」及び「全体に占める割合」については把握していないが、例えば、令和七年三月に公表された令和六年度老人保健事業推進費等補助金による「居宅介護支援事業所における業務実態等に関する調査研究事業」の報告書(以下「報告書」という。)において、「全国の居宅介護支援事業所等の約二千五百カ所に対してアンケート調査」を行い、「有効回収数」九百二十三箇所のうち「逓減制の適用緩和の届出済み」と回答した事業所数は七十二箇所であり、そのうち「令和六年九月サービス提供分の逓減制の適用緩和状況」について、「適用緩和の算定あり(居宅介護支援費(Ⅱ))」と回答した事業所数は、二十三箇所とされているところである。 一の3について お尋ねについては、報告書において、「逓減制の適用緩和の届出をしていない理由としては「事業所の経営上、事務職員の採用が難しいため」、「ケアプランデータ連携システムがサービス事業所で導入されておらず、活用することが難しいため」が四割以上と概ね同程度であり、「ケアプランデータ連携システムの導入コストがかかるため」、「ケアマネジメントの質やケアマネジャーの職場環境の維持のために、担当件数を増やすことは難しいと判断したため」の回答も四割弱と多かった」とされているとおりである。 二について 御指摘の「導入当時と現在では実態に大きな乖離がある」及び「画一的な上限撤廃や柔軟な基準化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「報酬逓減措置」については、一の2についてで述べたとおり、これまでも必要な見直しを行ってきたところであり、御指摘のような「現場から」の「ICT等を活用して効率的に五十件以上を担当可能な体制を構築しても、制度上の規制に阻まれて意味がなくなる」及び「人員配置が十分でも報酬は制限される」といった「指摘」については把握していないが、いずれにせよ、政府としては、報告書において示された一の3についてで述べた「現場」の「実態」も踏まえながら、社会保障審議会介護給付費分科会において議論を行い、その結果を踏まえて、必要な施策を講じてまいりたい。 三について 御指摘の「人員配置超過や業務件数超過等の業務量の規制をもって減算している交付金、補助金及び助成金制度」はなく、このことを前提としたお尋ねにお答えすることは困難である。なお、利用定員の超過により、介護報酬を減算しているものとしては、例えば、厚生労働大臣が定める利用者等の数の基準及び看護職員等の員数の基準並びに通所介護費等の算定方法(平成十二年厚生省告示第二十七号)において、通所介護については、「介護保険法施行規則(平成十一年厚生省令第三十六号・・・)第百十九条の規定に基づき都道府県知事(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市・・・及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市・・・にあっては、指定都市又は中核市の市長・・・)に提出した運営規程に定められている利用定員を超える」場合には、「指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第十九号)別表指定居宅サービス介護給付費単位数表・・・の所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて、指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準の例により算定する」と定められ、また、介護老人福祉施設については、「施行規則第百三十四条の規定に基づき都道府県知事に提出した運営規程に定められている入所定員を超える」場合には、「指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成十二年厚生省告示第二十一号)別表指定施設サービス等介護給付費単位数表・・・の所定単位数に百分の七十を乗じて得た単位数を用いて、指定施設サービス等に要する費用の額の算定に関する基準の例により算定する」と定められているところである。 四について お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、いずれにせよ令和五年十二月十九日に社会保障審議会介護給付費分科会が取りまとめた「令和六年度介護報酬改定に関する審議報告」において、「介護現場における生産性の向上に資する取組の促進を図る観点から、(中略)見守り機器等のテクノロジー・・・を一つ以上導入し、生産性向上ガイドラインの内容に基づいた業務改善を継続的に行うとともに、一定期間ごとに、業務改善の取組による効果を示すデータの提供を行うことを評価する新たな加算を設ける。加えて、上記の要件を満たし、提出したデータにより業務改善の取組による成果が確認された上で、見守り機器等のテクノロジーを複数導入し・・・、職員間の適切な役割分担(いわゆる介護助手の活用等)の取組等を行っていることを評価する区分を設ける」とされたことを踏まえ、令和六年度介護報酬改定において「生産性向上推進体制加算」を新設したところであり、また、併せて同審議報告において、「当該加算を算定する介護サービス事業所における生産性向上の取組の進展状況を定期的に把握・分析し、その結果を踏まえ、加算の見直しを含む必要な対応を検討していくべきである」とされていることを踏まえ、引き続き、必要な対応を行ってまいりたい。 |