第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一九二号 令和七年六月二十七日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員齊藤健一郎君提出観光公害対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員齊藤健一郎君提出観光公害対策に関する質問に対する答弁書 一について 観光庁が令和二年一月に公表したお尋ねの「訪日外国人旅行者向けマナー啓発動画」の「活用状況」については、同月から令和七年三月末までの間に、地方自治体等から同庁に対して、当該動画の利用に係る届出が行われた件数は八十四件である。また、お尋ねの「効果」については、一概にお答えすることは困難であるが、訪日外国人旅行者へのマナー啓発に寄与するものと考えている。 二について 御指摘の「訪日外国人旅行者の増加に伴う観光公害」及び「観光公害対策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」(令和五年十月十八日観光立国推進閣僚会議決定)を取りまとめるとともに、令和五年度補正予算及び令和六年度補正予算において、「オーバーツーリズムの未然防止・抑制による持続可能な観光推進事業」を措置し、観光客へのマナー啓発や、観光客による混雑状況を緩和するための交通対策などといった地域における意欲的な取組について、総合的な支援を行っているところである。政府としては、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。 三について 観光客へのマナー啓発については、例えば、令和七年三月十三日の参議院国土交通委員会において、平嶋観光庁次長が「観光庁では、旅行者の行動変容の促進、またマナーの啓発を目的といたしまして、未来のための旅のエチケット、それからもう一つ、観光ピクトグラム、こちら、目で見て分かるようにということで、こういったものを作成いたしました。平日朝、夜間の混雑を避けた観光を推奨するなど、旅行者の行動変容の促進にも資するものと思っております。」と答弁したとおり取り組んでおり、政府としては、まずは、これらの取組を進めていくこととしていることから、現時点では、お尋ねの「アプリの提供」については考えていないが、二についてで述べたとおり、観光客の受入れと住民の生活の質の確保の両立が図られるよう、引き続き、必要な対策に取り組んでまいりたい。 四について お尋ねの「自然保護区や歴史的建造物におけるマナー違反」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、政府としては、優れた自然の風景地の保護等を目的として、自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号。以下「法」という。)第二条第二号に規定する国立公園については、法第二十条第三項、第二十一条第三項、第二十二条第三項及び第三十七条第一項の規定等に基づき必要な規制を行っており、法第八十二条において、法第二十条第三項等の規定に違反したときは、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処することとしている等、必要な罰則が規定されている。また、文化財の保護等を目的として、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第百九十五条第一項において、重要文化財に指定した建造物等を損壊等した者は、五年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処することとしている等、必要な罰則が規定されている。 |