第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一七九号 令和七年六月二十日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出医療費適正化計画における入院医療費の取扱い及び目標・実績の整合性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出医療費適正化計画における入院医療費の取扱い及び目標・実績の整合性に関する質問に対する答弁書 一の1について お尋ねについては、御指摘の「入院医療費及び外来医療費」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、厚生労働省が毎年度公表している「国民医療費」によれば、直近の令和四年度について、「総数」は四十六兆六千九百六十七億円、「医科診療医療費」は三十三兆八千二百五十五億円(うち「入院医療費」は十七兆三千五百二十四億円、「入院外医療費」は十六兆四千七百三十一億円)、「歯科診療医療費」は三兆二千二百七十五億円、「薬局調剤医療費」は七兆九千九百三億円、「入院時食事・生活医療費」は七千二百九十億円、「訪問看護医療費」は四千六百三十三億円及び「療養費等」は四千六百十億円である。 一の2及び3並びに二の1について 「経済財政運営と改革の基本方針二〇二一」(令和三年六月十八日閣議決定。以下「骨太方針二〇二一」という。)においては、「一人当たり医療費の地域差半減に向けて、・・・医療費適正化計画の在り方の見直しを行う。(中略)都道府県が策定する都道府県医療費適正化計画(中略)において・・・「病床の機能の分化及び連携の推進」を必須事項とする・・・ことにより、医療費適正化を推進する」とし、また、御指摘の「経済財政運営と改革の基本方針二〇二三」(令和五年六月十六日閣議決定。以下「骨太方針二〇二三」という。)においても、「一人当たり医療費の地域差半減に向けて、・・・医療費適正化に取り組」むとした上で、高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)第八条第一項の規定により厚生労働大臣が定めた医療費適正化に関する施策についての基本的な方針(令和五年厚生労働省告示第二百三十四号。以下「基本方針」という。)においては、令和六年度から令和十一年度までの医療費適正化計画(以下「第四期医療費適正化計画」という。)の期間における「医療費の見込みに関する事項」として、「数値目標を定める特定健康診査等の受診率の向上及び後発医薬品の使用促進の効果を取り除いた後の都道府県別の令和十一年度の一人当たり入院外医療費について、年齢調整を行い、なお残る一人当たり入院外医療費の地域差について全国平均との差を半減することをもって、地域差半減として取り扱う」としつつ、「入院医療費については、医療計画に基づく事業の実施による病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえて算出することとするが、地域医療構想は第四期医療費適正化計画の計画期間中の令和七年に向けて策定されているものであるため、同年以降に係る検討状況を踏まえ、第四期医療費適正化計画の計画期間中に、算出方法を見直す」こととしているところ、入院医療費に係る一人当たり医療費の「地域差半減」(以下「一人当たり入院医療費の地域差半減」)については、当該算出方法の見直しを踏まえながら、検討することとしており、一人当たり医療費の「地域差半減」(以下「一人当たり医療費の地域差半減」という。)の目標の対象について、御指摘のように「入院医療費を除外し入院外医療費のみとしている」わけではなく、また、骨太方針二〇二一及び骨太方針二〇二三と基本方針とで、必ずしも御指摘のように「対象の違い」があるものでもない。 一の4について 御指摘の「地域差縮減政策の趣旨目的」の意味するところが必ずしも明らかではないが、骨太方針二〇二一及び骨太方針二〇二三においては、「一人当たり医療費の地域差半減に向けて」としているところ、当該「医療費」は、一の1についてで述べた厚生労働省が毎年度公表している「国民医療費」の「総数」を指すものであり、御指摘の「社会保障審議会医療保険部会第百九十三回資料」においては、「国民医療費」の、「入院医療費」及び「入院時食事・生活医療費」の合計を「入院」に係る医療費として、また、「入院外医療費」、「歯科診療医療費」、「薬局調剤医療費」、「訪問看護医療費」及び「療養費等」の合計を「外来」に係る医療費として記載したものである。 二の2について 一人当たり入院医療費の地域差半減については、一の2及び3並びに二の1についてで述べたとおり、入院医療費の算出方法の見直しを踏まえながら、検討することとしており、当該検討をしていく中で、必要な施策について検討してまいりたい。 なお、地域医療構想については、病床の機能の分化及び連携により、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を目的としており、医療費の適正化を目的としたものではないため、御指摘の「二〇一五年以降の地域医療構想の医療費適正化効果」は算出していない。 三の1について 厚生労働省においては、「令和六年度に実施する第三期医療費適正化計画の実績評価に関する基本的な考え方について」(令和六年六月十二日付け保連発第〇六一二第一号厚生労働省保険局医療介護連携政策課長通知。以下「通知」という。)別紙の「実績評価の記載例」において、「第三期医療費適正化計画」の期間における年度ごとの「医療費推計と実績の比較・分析」の「記載例」とともに、一人当たり医療費の地域差半減を目指す取組である「生活習慣病等の重症化予防の推進」、「医薬品の適正使用の推進の取組」等に係る「実績評価」の「記載例」を示したところであるが、第四期医療費適正化計画に関しても、これと同様に「実績評価」の「記載例」を示す予定であり、その上で、都道府県における「実績評価」の取組を促すこととしている。 三の2及び3について 御指摘の「係数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、御指摘の「推計式」は、第四期医療費適正化計画期間において、各都道府県が基本方針における各種医療費適正化の取組を行った場合の最終年度の「適正化効果額」(当該取組を行わなかった場合の医療費の額と当該取組を行った場合の医療費の額の差額をいう。)を算出するためのものであり、お尋ねのようにこれを「用いれば、年度ごとに実績効果を算出すること」ができるものではない。 三の4について 御指摘の「進捗管理体制の強化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、三の1についてで述べたとおり、第四期医療費適正化計画に関しても、通知別紙と同様に「実績評価」の「記載例」を示す予定であり、各都道府県において、必要に応じて御指摘の「年度ごとの到達度・・・の公表」や「達成・未達成の要因分析」を行いながら、適切に「PDCA」が「機能」するよう、当該「PDCA」に係る取組について促してまいりたい。 四の1について 御指摘の「地域偏在対策の効果が入院医療費に与える影響」及び「そのような定量評価や因果分析が行われた実績」の意味するところが明らかではないため、これに関するお尋ねについてお答えすることは困難であるが、御指摘の「病床再編」に関しては、例えば、第四期医療費適正化計画期間において、「病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえた入院医療費は約十九・二兆円」と見込んでいるほか、一の2及び3並びに二の1についてで述べたとおり、入院医療費については、医療計画に基づく事業の実施による病床機能の分化及び連携の推進の成果を踏まえて算出することとし、第四期医療費適正化計画期間において、当該算出の方法を見直すこととしており、これに基づき、当該病床機能の分化及び連携の推進の成果等について、適時適切な分析を行ってまいりたい。 四の2について お尋ねの「再構築」、「再設計」及び「その体制」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一人当たり入院医療費の地域差半減については、一の2及び3並びに二の1についてでお答えしたとおりである。 |