質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一六四号
  令和七年六月二十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出公益通報の対象範囲に係る政府見解の変更経緯等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出公益通報の対象範囲に係る政府見解の変更経緯等に関する質問に対する答弁書

一、二、三の前段及び六について

 御指摘の「検討会」の資料「御議論いただきたい事項等」及び「これまでの検討を踏まえて現時点において考えられる方向性」(以下「第一回資料等」という。)の個別の記載の経緯については、一定の期間が経過しているため、お答えすることは困難であるが、第一回資料等は、「公益通報者保護法第十一条第一項及び第二項の規定に基づき事業者がとるべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針」(令和三年内閣府告示第百十八号。以下「指針」という。)の内容等に関する審議のための資料にとどまるものである。いずれにせよ、令和三年四月に御指摘の「検討会」が取りまとめた報告書やそれを踏まえて策定された「公益通報者保護法に基づく指針(令和三年内閣府告示第百十八号)の解説」(令和三年十月消費者庁策定。以下「解説」という。)に明記されているように、また、先の答弁書(令和六年十二月十七日内閣参質二一六第一五号。以下「前回答弁書」という。)二についてでお答えしたとおり、指針中の「第四 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第十一条第二項関係)」において、事業者に対して、「公益通報者を保護する体制の整備」等を求めているところであり、この「公益通報者」については、公益通報者保護法(平成十六年法律第百二十二号)第三条第一号に規定する「当該役務提供先等に対する公益通報」をした者のみならず、同条第二号に規定する「当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報」又は同条第三号に規定する「その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報」をした者も含まれるものであり、この考え方は従前より変わるものではないため、御指摘の「見解」の「変更」を前提としたお尋ねについてお答えすることは困難である。

三の中段及び後段について

 お尋ねについては、御指摘の「検討会」各回において、御指摘の「法定指針の対象」の内容を含む、これらの「検討会」に提出した資料について説明を行ったものである。

四について

 前回答弁書二についてでお答えしたとおり、指針中の「第四 内部公益通報対応体制の整備その他の必要な措置(法第十一条第二項関係)」において、事業者に対して、「公益通報者を保護する体制の整備」等を求めているところであり、この「公益通報者」については、公益通報者保護法第三条第一号に規定する「当該役務提供先等に対する公益通報」をした者のみならず、同条第二号に規定する「当該通報対象事実について処分又は勧告等をする権限を有する行政機関等に対する公益通報」又は同条第三号に規定する「その者に対し当該通報対象事実を通報することがその発生又はこれによる被害の拡大を防止するために必要であると認められる者に対する公益通報」をした者も含まれるものであり、この考え方は従前より変わるものではない。この考え方については、公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和二年法律第五十一号。以下「改正法」という。)が成立するまでの間に国会の審議等で示したことはないが、改正法の成立後、解説や公益通報者保護法に関する「Q&A集」を消費者庁ホームページにおいて示しているところである。

五について

 御指摘の「厳格な条件・手続」及びお尋ねの「ルールや規範等」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、法令の解釈についての一般論として申し上げれば、法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による法令の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に法令の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えているところ、このようなことを前提に検討を行った結果、従前の解釈を変更することが至当であるとの結論が得られた場合には、これを変更することがおよそ許されないというものではないと考えられるが、いずれにせよ、その当否については、個別的、具体的に検討されるべきものと考える。