質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一五七号
  令和七年六月二十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出南海トラフ地震臨時情報制度の運用による社会不安の扇動及び米価変動等の経済的影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出南海トラフ地震臨時情報制度の運用による社会不安の扇動及び米価変動等の経済的影響に関する質問に対する答弁書

一、二の後段及び四について

 御指摘の「東海地震に関連する情報」は、東海地震の発生のおそれがあると判断された場合に発表する「予知情報」など、地震の前兆現象を捉えることで、東海地震の発生の直前に予知ができる可能性があることを前提とした情報の体系であった一方、「南海トラフ地震臨時情報」の「巨大地震警戒」や「巨大地震注意」は、南海トラフ沿いにおける想定震源域でマグニチュード六・八程度以上の地震の発生等が捉えられ、南海トラフ沿いにおいて大規模な地震が発生する可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると評価された場合に発表するものであって、地震を予知する情報ではなく、「東海地震に関連する情報」と内容が異なるものである。政府においては、「南海トラフ地震臨時情報」について、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」(平成二十六年三月二十八日中央防災会議決定、令和三年五月二十五日一部変更)や「南海トラフ地震の多様な発生形態に備えた防災対応検討ガイドライン」(平成三十一年三月二十九日内閣府(防災担当)策定、令和三年五月十日一部改定)に制度趣旨等を記載するとともに、広報資料の配布等により周知を図っているところであり、今後とも、これらの方法により周知徹底を図ってまいりたい。

二の前段について

 御指摘の「南海トラフ地震臨時情報」については、「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」において、「南海トラフの想定震源域及びその周辺で速報的に解析されたマグニチュード六・八程度以上の地震が発生、またはプレート境界面で通常とは異なるゆっくりすべり等を観測した場合」に「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表するほか、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)発表後」、「南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界でマグニチュード八・〇以上の地震が発生したと評価が出された場合」に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)」を、「南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界でマグニチュード七・〇以上マグニチュード八・〇未満又はプレート境界以外や想定震源域の海溝軸外側五十キロメートル程度までの範囲でマグニチュード七・〇以上の地震(ただし、太平洋プレートの沈み込みに伴う震源が深い地震は除く)が発生若しくは、南海トラフ沿いの想定震源域内のプレート境界面で通常と異なるゆっくりすべりが観測されたと評価した場合」に「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震警戒)及び南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)のいずれの発表条件も満たさなかった場合」に「南海トラフ地震臨時情報(調査終了)」を、それぞれ発表することとしている。

三について

 お尋ねの「市場に与えた影響」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和六年八月八日に御指摘の「南海トラフ地震臨時情報」の「巨大地震注意」を発表した際の影響について、同年十月三十日に開催した第六十三回食料・農業・農村政策審議会食糧部会参考資料四「令和六年端境期の需給状況に関する分析」において、米の「各流通段階における供給状況は、昨年と同程度から昨年以上に供給が行われていたが、八月の南海トラフ地震臨時情報等を受けた買い込み需要に各流通段階からの供給が追い付かない状況が発生した」と分析しているほか、「中央防災会議防災対策実行会議」に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」において、交通事業者や観光事業者等に及ぼす影響について調査し、その検証を行ったところである。

五について

 政府においては、南海トラフを含む日本全国の地震活動、地殻変動等を一体的に観測・監視し、適時的確に情報を発表しているところであり、お尋ねの「南海トラフ関連」の「予算額及び使途内訳」を区分してお答えすることは困難である。