質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一五六号
  令和七年六月二十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出血漿分画製剤の安定確保及び売血制度の再検討に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出血漿分画製剤の安定確保及び売血制度の再検討に関する質問に対する答弁書

一の1について

 お尋ねの「我が国で流通している血漿分画製剤のうち、原料血漿が外国に由来する割合」については、例えば、令和五年度の血液製剤の安定供給に関する計画(令和五年厚生労働省告示第百三十七号)別表の「血液製剤の種類」の欄に掲げる種類ごとに、同表の「国内血漿(しょう)由来」及び「輸入血漿(しょう)由来」の供給量を合計した数量のうち、「輸入血漿(しょう)由来」の供給量の割合(小数点第二位を四捨五入した数字)で言えば、令和五年度の「血液製剤の種類」の欄に掲げる種類ごとの当該割合は、「アルブミン」は二十八・九パーセント、「乾燥人フィブリノゲン」は零パーセント、「組織接着剤」は六十四・一パーセント、「血液凝固第Ⅷ因子」は零パーセント、「血液凝固第Ⅸ因子」は零パーセント、「インヒビター製剤」は二十八・四パーセント、「乾燥濃縮人プロトロンビン複合体」は百パーセント、「血液凝固第ⅩⅢ因子」は百パーセント、「人免疫グロブリン」は二十四・七パーセント、「抗HBs人免疫グロブリン」は九十五・六パーセント、「乾燥抗D(Rho)人免疫グロブリン」は百パーセント、「抗破傷風人免疫グロブリン」は百パーセント、「アンチトロンビンⅢ」は零パーセント、「乾燥濃縮人活性化プロテインC」は零パーセント、「人ハプトグロビン」は零パーセント、「乾燥濃縮人C一―インアクチベーター」は百パーセント、「ヘミン」は百パーセントである。なお、「ヒトフォン・ヴィレブランド因子」及び「乾燥濃縮人α一―プロテイナーゼインヒビター」については、「国内血漿(しょう)由来」及び「輸入血漿(しょう)由来」の供給の実績がない。

 また、「輸入血漿(しょう)由来」の輸入元は、製造販売業者からの報告によればアメリカ合衆国、オーストリア、スイス、ドイツ、フィンランド及びポーランドの六か国であるが、お尋ねの「国別・・・の内訳」については把握していない。

一の2について

 お尋ねについて、御指摘の「有償採血」を医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則(昭和三十六年厚生省令第一号。以下「施行規則」という。)第二百三十三条の規定の非献血(以下「非献血」という。)として行われる採血と解すれば、御指摘のような「製剤」が「輸入されていること」は把握している。また、お尋ねの「表示義務」については、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「法」という。)第六十八条の十七第四号及び施行規則第二百三十三条の規定により、血液製剤の直接の容器又は直接の被包に、原材料である血液が採取された国の国名及び献血又は非献血の別が記載されていなければならないとし、製造販売業者においては、「採血国の国名及び採血方法に係る表示等について」(平成十五年五月十五日付け医薬発〇五一五〇二〇号厚生労働省医薬局長通知)第三の1の「献血又は非献血の区別の基準」に基づき、献血又は非献血を区別し、表示することとしている。

一の3について

 御指摘の「輸入血漿由来製剤」の「未知の感染症リスク」については、血液製剤は、人体から採取された血液を原料とする性質上、「感染症リスク」を完全に排除することは困難であると認識している。その上で、「未知の感染症リスク」への対策として、法第六十八条の十の規定に基づき、血液製剤の製造販売業者は、血液製剤の使用によるものと疑われる感染症の発生を知ったときは、厚生労働大臣に当該感染症に関する情報を報告しなければならないとし、また、法第六十八条の十二の規定に基づき、同大臣は、毎年度、当該報告の状況について薬事審議会に報告し、必要があると認めるときは、その意見を聴いて、保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講ずるものとするとともに、さらに、法第六十八条の二十四第一項の規定に基づき、血液製剤の製造販売業者は、血液製剤の原料又は材料による感染症に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき製造した血液製剤を評価し、その成果を同大臣に報告しなければならないとし、また、同条第二項の規定により、同大臣は、毎年度、当該報告の状況について同審議会に報告し、必要があると認めるときは、その意見を聴いて、血液製剤の使用による保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するために必要な措置を講ずるものとしているところ、これらに基づき、適切に対応することとしている。

二の1について

 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号。以下「血液法」という。)第十六条の規定においては、「何人も、有料で、人体から採血し・・・てはならない」とされているところ、これは、中央薬事審議会企画・制度特別部会が平成十二年十二月十五日に取りまとめた「新たな血液事業等の在り方について」(以下「報告書」という。)において、「血液事業等においては、高い公共性と倫理性を備えつつ、安全性の高い国内の献血による血液製剤を安定的に供給できる体制の確立が求められている」とした上で、「血液製剤は、人体の組織の一部である血液を原料とすることから、原料とする血液については、国内の善意の無償献血によりまかなわれる必要がある」等とされ、この趣旨を踏まえ規定されたものであり、御指摘のように「個人の身体に関する自己決定権を不当に制限する」規定とは考えていない。

二の2について

 御指摘の「有償採血」を非献血として行われる採血と解すれば、諸外国における当該採血の取組や御指摘の「仕組み」について、その詳細を把握しておらず、お尋ねについて網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、令和二年度の厚生労働科学研究費補助金による医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業「日米における原料血漿の採漿及び確保状況、血漿分画事業者の収益性と対応について」において、「米国における原料血漿の確保は主に血液提供者(ドナー)への対価の支払いを伴う有償の血漿成分採血(Source Plasma)により行われている」とされているところである。

二の3について

 御指摘の「有償採血」を非献血として行われる採血と解すれば、お尋ねについては、武田薬品工業株式会社の子会社であるBioLife Plasma Services社が御指摘の「米国」等において非献血として行われる採血を行う施設を設置していることについて把握している。

二の4について

 御指摘の「有償採血」を非献血として行われる採血と解すれば、お尋ねについては、二の1についてで述べたとおり、報告書において「人体の組織の一部である血液を原料とすることから、原料とする血液については、国内の善意の無償献血によりまかなわれる必要がある」等とされていることを踏まえると、非献血として行われる採血の「制度設計」について、検討すべきとは考えていない。

三の1について

 お尋ねの「数値目標及び達成年次」については定めていないが、血液法第二十六条第一項の規定により、厚生労働大臣は、毎年度、翌年度の安定供給に関する計画を定めるものとし、同条第二項第四号の規定に基づき、当該計画において、「当該年度に原料血漿(しょう)から製造されるべき血液製剤の種類及び量の目標」を定めるものとしているところ、例えば、令和七年度の血液製剤の安定供給に関する計画(令和七年厚生労働省告示第百四十三号)別表においては、「国内血漿(しょう)由来」の「製造・輸入目標量」について定めているところである。

三の2及び3について

 お尋ねの「希少製剤・血漿分画製剤の供給を拡充していくことは現実的に達成可能か」とのお尋ねについては、現在、御指摘の「希少製剤・血漿分画製剤の供給」の「拡充」に向けて、献血の推進に取り組んでいるところであることから、予断を持ってお答えすることは困難であり、また、お尋ねの「供給可能量の上限」が念頭にあるわけではないが、引き続き、「供給」の「拡充」に努めてまいりたい。

三の4について

 お尋ねについては、血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針(平成三十一年厚生労働省告示第四十九号)において、「血漿(しょう)分画製剤の一部の製剤については、未だ全てを外国からの血液に依存しているものもある」としているとおりであり、また、同方針においては、「国は、倫理性、国際的公平性等の観点に立脚し、国内で使用される血液製剤が、原則として国内で行われる献血により得られた血液を原料として製造され、外国からの血液に依存しなくても済む体制の構築」を行うとともに、「特に、血漿(しょう)分画製剤については、近年、一部の製品で医療需要が増加していることから、・・・安定的な供給の確保を図る」必要があるとした上で、「血液製剤に関し国内自給が確保されるための方策に関する事項」として、「国内自給のための献血量の確保」等を行うこととしているところ、これに基づき、毎年度、血液法第十条第一項に規定する献血推進計画を定め、全国的なキャンペーン等の実施やポスター等広告媒体の活用を始めとする広報の実施、高校生を対象とした献血や血液製剤について解説した教材の作成等の普及啓発、献血の推進に功績があった団体や個人に対する厚生労働大臣からの表彰状や感謝状の贈呈等の施策を実施することにより、より多くの方に献血していただくよう取り組んでいるところであり、引き続き、国民の善意に基づく献血の推進に取り組んでまいりたい。