質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一四二号
  令和七年六月十三日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出管理不全・住民不在マンションへの制度的対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出管理不全・住民不在マンションへの制度的対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「比率」については、政府として把握していない。また、お尋ねの「自治体」の「把握」の状況については、政府として承知していない。

二について

 お尋ねの「マンション全体の管理運営に支障を来している事例」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、マンション管理組合(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号。以下「区分所有法」という。)第三条に規定する団体をいう。以下同じ。)の集会の決議に当たり、お尋ねの「実際に居住していない所有者が管理組合の総会や決議に参加しないこと」により、当該決議が困難となっている事例があることは把握している。

三について

 マンション管理組合における意思決定については、区分所有法等の規定に基づき、当該マンション管理組合の集会における区分所有者(区分所有法第二条第二項に規定する区分所有者をいう。以下同じ。)の多数決等により行う必要があることから、区分所有者がお尋ねの「外国人や外国法人所有者」であるか否かにかかわらず、マンション管理組合の集会への出席率が著しく低い場合等においては、当該マンション管理組合の運営が困難となる場合があるものと考えている。

四について

 御指摘の「無許可の民泊営業」については、住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号。以下「法」という。)第三条第二項第七号及び住宅宿泊事業法施行規則(平成二十九年厚生労働省・国土交通省令第二号)第四条第三項第十三号の規定により、住宅宿泊事業(法第二条第三項に規定する住宅宿泊事業をいう。以下同じ。)の届出に当たっては、マンション管理組合が制定するマンションの管理規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない旨等を記載した届出書を提出しなければならないこととしているほか、観光庁において、御指摘の「無許可の民泊営業」に係る情報や住宅宿泊事業に係る住民からの苦情等を受け付けるコールセンターの設置等を通じて、住宅宿泊事業の適正化に取り組んでいるところである。

 また、御指摘の「外国人による無許可旅客運送」については、政府としては、都道府県警察等の関係機関と連携し、いわゆる白タク行為の防止のための啓発活動を行っているほか、当該行為が疑われる事案についての情報共有を行うなど、当該行為の対策に取り組んでいるところである。

 さらに、御指摘の「「不在地主」対応」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成十二年法律第百四十九号)第九十一条の規定に基づき国土交通大臣が指定するマンション管理適正化推進センター等において、マンションの管理に関する相談窓口を設置する等、政府としては、同センター等と連携して、マンション管理組合への支援等に取り組んでいるところである。

五について

 御指摘の「「不在地主」状態」及び「居住義務制度」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、令和七年五月十四日の衆議院国土交通委員会において、楠田国土交通省住宅局長が「本改正法案におきましては、外国人を含めた区分所有者の間で、管理について円滑に合意形成を図れますように、修繕等の日常の管理行為に係る決議を集会出席者による多数決で行えることとするほか、国内に住所を有しない区分所有者が、国内管理人を選任できる制度を創設するなどの措置を講じることといたしております。」と答弁し、また、同月七日の衆議院国土交通委員会において、内野法務省大臣官房審議官が「本改正法案におきましては、裁判所は、区分所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができない専有部分について、必要があると認めるときは、利害関係人の請求により、所有者不明専有部分管理人による管理を命ずる処分をすることができることとしております。」と答弁したとおり、今国会において成立した老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(令和七年法律第四十七号)により、区分所有者の所在が不明となっている場合等、御指摘の「居住実態のない物件」がある場合にもマンションの管理を円滑に行うための措置を講ずることとしたところであり、政府としては、現時点において、マンションにおける御指摘の「居住実態のない物件の増加に対応するため」の新たな措置については考えていない。

六について

 御指摘の「収益装置化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、マンションの購入目的が御指摘の「不動産投資目的」であるか否か、また、区分所有者が御指摘の「外国人や外国法人所有者」であるか否かにかかわらず、マンション管理組合の集会への出席率が著しく低い場合等においては、マンション管理組合の運営が困難となる場合があるものと考えている。

 その上で、御指摘の「包括的な制度パッケージ」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、マンション管理組合の「合意形成が困難」である「状況への対策」については、五についてで述べたマンションの管理を円滑に行うための措置を講ずることとしたところであり、政府としては、まずは、当該措置の周知の徹底等によりマンションの管理の円滑化等を図るための取組を進めてまいりたい。