質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一三九号
  令和七年六月十三日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の実態及び対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出晴海フラッグ及び周辺地域における無許可民泊の実態及び対応に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「周辺地域」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、厚生労働省が令和五年四月から令和六年三月までにかけて都道府県等を通じて実施した「旅館業法の遵守に関するフォローアップ調査」によると、お尋ねの「晴海フラッグ」が所在する東京都において、旅館業法(昭和二十三年法律第百三十八号)違反のおそれがあると把握している事案の件数は二百七件、近隣住民、宿泊者等から保健所への通報件数は百七十八件、保健所による指導件数は七十二件である。また、同法第三条第一項の許可を受けないで、施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業を行った事案について、過去五年間に警視庁が検挙した実績はないものと承知している。

二について

 お尋ねの「周辺地域」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、住宅宿泊事業法(平成二十九年法律第六十五号)に係る解釈等について示した「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」(平成二十九年十二月厚生労働省及び国土交通省策定、令和六年十二月改正。以下「ガイドライン」という。)の策定、御指摘の「無許可民泊」に係る情報や住宅宿泊事業(同法第二条第三項に規定する住宅宿泊事業をいう。以下同じ。)に係る住民からの苦情等を受け付けるコールセンター(以下「コールセンター」という。)の設置等を通じて、住宅宿泊事業の適正化に取り組んでいるところであり、東京都中央区においては、同法の規定に基づき、住宅宿泊事業の適正な運営を確保するための監督を行っているものと承知している。

三について

 お尋ねについては、旅館業法又は住宅宿泊事業法においては、人を宿泊させる営業を営もうとする者は都道府県知事等の許可等を受けなければならないこととしているほか、所要の罰則等を設けているところであり、政府としては、一義的には、各都道府県知事等において、旅館業法第二条第一項に規定する旅館業又は住宅宿泊事業の適正な運営を確保するため、個別の事案に応じて適切に対応するべきものと考えている。

四について

 お尋ねの「警察や自治体がどのように取り締まっているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に、これが御指摘の「電柱や公共スペースへのキーボックスの無断設置」をした者に対する取締りを意味するものであるとすれば、警察において、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき厳正な取締りを行うことになるものと考える。

 また、お尋ねの「法的整理」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、届出住宅(住宅宿泊事業法第二条第五項に規定する届出住宅をいう。以下同じ。)において、宿泊者への鍵の受渡しに関して、仮に不適切な取扱いが認められる場合には、住宅宿泊事業者(同条第四項に規定する住宅宿泊事業者をいう。以下同じ。)及び同条第七項に規定する住宅宿泊管理業者に対し、同法第二章第三節及び第三章第三節の規定に基づき、都道府県知事等及び国土交通大臣が事業の適正な運営を確保するために必要な監督を行うことになるものと考える。

五について

 御指摘の「管理組合が違法民泊を制限・排除するために行う措置」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、住宅宿泊事業法第三条第二項第七号及び住宅宿泊事業法施行規則(平成二十九年厚生労働省・国土交通省令第二号)第四条第三項第十三号の規定により、住宅宿泊事業の届出に当たっては、マンション管理組合(建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)第三条に規定する団体をいう。)が制定するマンションの管理規約に住宅宿泊事業を営むことを禁止する旨の定めがない旨等を記載した届出書を提出しなければならないこととしているほか、住宅宿泊事業法第十三条の規定により、届出住宅への標識の掲示を義務付けているところであり、お尋ねの「法的な後押しや支援策」については考えていない。

六について

 御指摘の「条例」による「制限」については、地域の実情に応じた個別具体的な対応が求められるものと考えており、政府としては、ガイドラインにおいて、住宅宿泊事業者に対し、住宅宿泊事業を営む前における住民への事前説明を推奨しているほか、コールセンターを設置する等して、御指摘の「民泊」に係る住民の声が反映されるよう努めているところであり、お尋ねの「統一的な運用指針」の「策定」については考えていない。