質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一三五号
  令和七年六月十三日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員神谷宗幣君提出再生可能エネルギー発電事業者の倒産・廃業及び太陽光パネル放置・撤去費用に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員神谷宗幣君提出再生可能エネルギー発電事業者の倒産・廃業及び太陽光パネル放置・撤去費用に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の報道については承知しているが、政府として、御指摘の「計五十二の再生可能エネルギー発電事業者が市場から撤退した」こと等の当該報道の内容に係る事実関係については把握しておらず、お尋ねの「要因」についてお答えすることは困難である。

 お尋ねの「FIT制度の終了に当たり、採算悪化による事業者の倒産や撤退が相次ぐ事態」の具体的に意味するところが明らかではなく、認定(再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「法」という。)第九条第四項の認定をいう。以下同じ。)を受けた者(以下「認定事業者」という。)の経営には様々な要因が影響するものであり、また、法第二条の二第二項に規定する供給促進交付金の交付の期間(以下「交付期間」という。)又は法第三条第二項に規定する調達価格による調達に係る期間(以下「調達期間」という。)が終了する日は認定事業者によって異なるため、「見通していたか」否かについてお答えすることは困難である。

二及び四について

 御指摘の「国民負担と制度成果との間に深刻なねじれが生じている」及びお尋ねの「このような制度設計上の矛盾」の具体的に意味するところが明らかではなく、お尋ねの「見解」についてお答えすることは困難であるが、法第十五条の十二第二項の規定に基づき認定発電設備(認定に係る再生可能エネルギー発電設備をいう。以下同じ。)の解体等に要する費用に充てるための金銭を解体等積立金として積み立てなければならない期間については、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法の規定に基づき基準価格等、調達価格等及び解体等積立基準額を定める件(平成二十九年経済産業省告示第三十五号)第二条第三十三項等においてその積立ての対象となる認定発電設備に係る交付期間又は調達期間を二十年間と定めていること等から、経済産業省総合資源エネルギー調査会における議論を踏まえ、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法施行規則(平成二十四年経済産業省令第四十六号。以下「規則」という。)第十三条の四において、交付期間又は調達期間が終了する日から起算して十年前の日以降に最初に検針等が行われた日からとすること等を定めているものである。

 その上で、お尋ねの「空白期間」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、認定事業者が、御指摘の「撤退・倒産」をした場合においては、当該認定事業者から認定に係る再生可能エネルギー発電事業(法第九条第一項に規定する再生可能エネルギー発電事業をいう。以下同じ。)を承継した者等が当該認定に係る認定発電設備について必要な管理、処分等を行うものと考えている。

三について

 御指摘の「事業者の倒産などによって管理主体が不明となった設備」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねの「設備の件数や所在」についてお答えすることは困難であるが、再生可能エネルギー発電事業の実施状況については、例えば、法第十条第一項の規定により、認定事業者が変更となる場合には同項の認定を受けることとされており、政府として、当該認定に係る申請などを通じて把握しているところである。

五について

 お尋ねの「無責任な事業運営が可能となってしまう制度設計上の課題」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、政府として、「エネルギー基本計画」(令和七年二月十八日閣議決定)に記載しているとおり、再生可能エネルギーについては、「地域との共生と国民負担の抑制」を図りながら導入を促すこととしており、こうした考え方の下、例えば、法第九条第四項第六号において認定に当たって再生可能エネルギー発電設備の設置の場所の周辺地域の住民に対する説明会の開催等が規定されていること、規則第五条第一項第十四号等において認定の申請に係る再生可能エネルギー発電事業を営むに当たって関係法令の規定を遵守するものであることを規定していること、法第十五条の六第一項において認定を受けた再生可能エネルギー発電事業計画に従って再生可能エネルギー発電事業を実施していない認定事業者に対して交付金相当額積立金の積立命令を措置していることを踏まえ、これらの制度を厳格に運用するなど必要な取組を進めているところである。