第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一二七号 令和七年六月三日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出赤い羽根共同募金の強制徴収が不当寄附勧誘防止法違反となる可能性に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出赤い羽根共同募金の強制徴収が不当寄附勧誘防止法違反となる可能性に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「強制徴収」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第百十六条において、「共同募金は、寄附者の自発的な協力を基礎とするものでなければならない」と規定されているとおり、強制にわたることなく、同条の規定に基づき、適切に寄附金の募集が行われるべきと考えている。 二について 法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律(令和四年法律第百五号。以下「不当寄附勧誘防止法」という。)は、不当寄附勧誘防止法第一条に規定する法人等(以下「法人等」という。)に適用されるところ、社会福祉法第百十三条第二項により共同募金会と称する社会福祉法人については、法人等に該当するため、不当寄附勧誘防止法が適用される。また、御指摘の「社会福祉協議会等の赤い羽根共同募金を集金している団体」が具体的に何を指すのか必ずしも明らかではないが、当該団体が法人等に該当する場合には、不当寄附勧誘防止法が適用される。 三の1について お尋ねの「寄附勧誘行為」が不当寄附勧誘防止法第四条に定める禁止行為に該当するか否かについては、個別具体の事案に即して判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難であるが、当該行為が法人等によるものであり、かつ、不当寄附勧誘防止法第四条各号に定める類型に該当する行為であって、当該法人等が当該行為により寄附の勧誘を受ける個人を困惑させた場合には、禁止行為に該当する。また、同条各号に定める類型に該当する行為によって個人が困惑し、それによって寄附に係る契約の申込み若しくはその承諾の意思表示又は不当寄附勧誘防止法第二条第二号に規定する単独行為をする旨の意思表示が行われた場合には、当該個人は、当該寄附の意思表示を不当寄附勧誘防止法第八条第一項又は消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第四条第三項により取り消すことができる。 三の2について 御指摘の「不当寄附勧誘防止法上の不当な寄附」の意味するところが必ずしも明らかではないが、共同募金事業については、先の答弁書(令和七年二月十二日内閣参質二一七第一六号。以下「前回答弁書」という。)一についてで述べたとおり、社会福祉法の枠組みの下、各都道府県の共同募金会が、それぞれ社会福祉法人として定める定款等に基づき、民間における取組として、自主的かつ自律的に行うことを基本としているところ、例えば、共同募金会相互の連絡や業務の調整等を行う連合会である中央共同募金会においては、御指摘の「赤い羽根共同募金の募集」を行うボランティア向けに同法第百十六条の趣旨等を示したパンフレットを作成し、各都道府県の共同募金会に対して周知を行っているものと承知しており、不当寄附勧誘防止法に違反する行為を防ぐための取組については、各都道府県の共同募金会において、不当寄附勧誘防止法の趣旨にのっとり適切に対応されるものと承知している。 三の3について 御指摘の「不当寄附勧誘防止法上の不当な寄附により、赤い羽根共同募金の強制徴収を受けて困っている国民」の意味するところが必ずしも明らかではないが、法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する相談については、全国の消費生活センター等において、消費生活相談として受け付けている。また、日本司法支援センターの「霊感商法等対応ダイヤル」においても、いわゆる霊感商法等に係る法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する相談を受け付けている。 さらに、法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する情報については、消費者庁のウェブサイトに掲載している「法人等による寄附の不当な勧誘と考えられる行為に関する情報提供フォーム」において受け付けている。 三の4について 不当寄附勧誘防止法第四条及び第五条に定める禁止行為に係る不当寄附勧誘防止法第七条に基づく措置を行うか否かについては、個別具体の事案に即して判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難であるが、不当寄附勧誘防止法の規定に従ってその権限を行使すべきと認められるものであれば、不当寄附勧誘防止法に基づき適切に対応することとなる。 また、御指摘の「政府が赤い羽根共同募金の不当な徴収で困っている国民から相談又は通報を受け、その事実が不当寄附勧誘防止法に抵触すると確認できた場合」における「第十一条に基づく措置」については、その意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。 四について 御指摘の「不当寄附勧誘防止法の不当な寄附」の意味するところが必ずしも明らかではないが、不当寄附勧誘防止法に違反する行為を防ぐための取組を各都道府県の共同募金会が行っているかについてのお尋ねであれば、前回答弁書一についてで述べたとおり、共同募金事業については、各都道府県の共同募金会が、民間における取組として、自主的かつ自律的に行うことを基本としており、政府として網羅的に把握していない。その上で、例えば、三の2についてで述べたような中央共同募金会における取組について把握しているところである。 |