第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一二六号 令和七年六月三日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員浜田聡君提出社会保障制度における生涯純受益額と世代間不均衡に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員浜田聡君提出社会保障制度における生涯純受益額と世代間不均衡に関する質問に対する答弁書 一について 御指摘の「生涯純受益額」の推計は、各世代の生涯の受益と負担の分析手法として学術的に用いられているものであり、世代間の公平性の観点に立った分析手法の一つであると認識している。 二の1及び2について お尋ねの「生涯純受益額に関する公的分析資料」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「各世代の社会保障における生涯純受益額を定量的に推計した資料」としては、例えば、各世代の生涯の受益と負担の推計(社会保障に係るものを含む。)を行った、「平成十七年度年次経済財政報告」があり、御指摘のように、「平成十三年に内閣府が公表した推計を最後に、」政府が行った「生涯純受益額」の推計が存在しないわけではない。 二の3及び4について 御指摘の「生涯純受益額」の推計は、長期間にわたる試算であり、金利や経済成長率、将来人口等の前提条件の置き方により、試算結果は大きな影響を受けることから、こうした試算をどのように行うかについては、慎重な検討が必要であると考えている。このため、当該推計を定期的に行い、公表することは考えていない。 二の5について お尋ねの「社会保障上の給付・負担情報を可視化する仕組み」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、公的年金制度については、マイナポータルを通じて、ねんきんネットにおいて、保険料の納付実績及び将来の給付に関する情報を閲覧できるようになっている。 三の1について お尋ねについては、「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において、「将来にわたって社会保障制度を持続させるためには、負担を将来世代へ先送りせず、同時に、社会保障給付の不断の見直しを図る必要がある。」及び「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心となっているこれまでの社会保障の構造を見直していく必要がある。」とされているところであり、世代間の公平性等を確保することは重要な課題と認識している。 三の2について 前段のお尋ねについては、個人が行った試算について、政府として評価することは差し控えたい。また、後段のお尋ねについては、お尋ねの「これに類する世代間不均衡に関する国際比較分析」については把握しておらず、また、政府として、これに関する推計や試算を行っていない。 三の3について 御指摘の「社会保障制度の信頼回復」及び「応益性を高める給付改革」の意味するところが必ずしも明らかではないが、①及び②についてのお尋ねが、社会保障制度の給付と負担の在り方についての御質問であるとすれば、例えば、令和七年三月十四日の衆議院厚生労働委員会において、福岡厚生労働大臣が「少子高齢化が進む中で、社会保障給付費の水準が増大し、所得に占める社会保険料負担の割合が今、中長期的に増加傾向にあることを踏まえますと、現役世代の負担にも配慮しながら社会保険料負担の抑制に取り組むべきという問題意識については共有させていただいております。厚生労働省といたしましては、年齢にかかわらず、適切に支え合うことを目指す全世代型社会保障の理念にのっとりまして、改革工程にのっとって、給付と負担の見直し、医療DX等による効率化や医療提供体制の改革などを行う中で、保険料負担の抑制を図っていきたいと考えています。」と答弁したところであり、このような考え方に基づき、様々な検討を行っているところである。 また、「自動調整機能の強化や積立方式の併用等、制度構造の再設計」の意味するところが必ずしも明らかではないが、③についてのお尋ねが、公的年金制度の在り方についての御質問であるとすれば、その在り方については、少なくとも五年ごとに行われる財政検証の結果を踏まえて総合的に検討を行っているところである。 |