質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一二四号
  令和七年五月三十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出自治労等の労働組合の会計監査が未実施の場合の影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出自治労等の労働組合の会計監査が未実施の場合の影響に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「口座の開設」に係る取引に関しては、犯罪による収益の移転防止に関する法律(平成十九年法律第二十二号)第四条第五項の規定により読み替えて適用する同条第一項又は第二項の規定に基づき、金融機関は、現に人格のない社団又は財団の当該取引の任に当たっている者の氏名、住居及び生年月日、当該取引を行う目的並びに当該団体の事業の内容の確認(以下「取引時確認」という。)を行わなければならないこととされ、また、同条第六項の規定に基づき、人格のない社団又は財団及び現に当該取引の任に当たっている者は、金融機関が取引時確認を行う場合において、当該金融機関に対して、当該取引時確認に係る事項を偽ってはならないこととされているところ、同項の規定に違反するか否かについては、当該取引時確認に係る事項に関して個別具体的な事情により判断すべき事柄であり、御指摘の与件のみをもって一概にお答えすることは困難である。

二について

 労働組合は、労働者が主体となって自主的に組織する団体又はその連合団体であることからすれば、その運営に対する政府の関与は最小限にとどめるべきであるとの考え方の下、労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)第五条第二項については、同項に規定する規約は労働組合及びその組合員の良識をもって遵守されるものとの前提に立って、労働組合にとって必要と考えられる最小限の事項を規約中に定めるべきことを規定しているものと解しており、お尋ねの「罰則規定」を設けることは考えていない。

三及び四について

 二についてで述べた考え方の下、お尋ねの「会計報告」に関しては、労働組合の規約に労働組合法第五条第二項第七号に掲げる規定が含まれていれば、当該労働組合は、同項に適合するものと解しており、同条第一項の規定により、同法に規定する救済を与えられ、かつ、御指摘の「労働協約の地域的拡張適用の申立て」を含む同法に規定する手続に参与する資格を有するものである。

五について

 お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、金融庁は、銀行業に関する事務について、金融庁設置法(平成十年法律第百三十号)第四条第一項第三号イ等の規定により所管しており、「労働金庫及び労働金庫連合会」の事業に関する事務についても、労働金庫法(昭和二十八年法律第二百二十七号)第一条の目的規定において、「労働組合、消費生活協同組合その他労働者の団体が協同して組織する労働金庫の制度を確立して、これらの団体の行う福利共済活動のために金融の円滑を図り、もつてその健全な発達を促進するとともに労働者の経済的地位の向上に資すること」とされているところ、同号ハ等の規定により厚生労働省と共同で所管している。

六について

 二についてで述べた考え方の下、お尋ねの「実態把握」及び「網羅的な検査と指導」を行うことは考えておらず、いずれにせよ、労働組合の会計処理については、各労働組合の規約等にのっとって自主的に行われるべきものであると考えている。