質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一二一号
  令和七年五月三十日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員野田国義君提出再エネ賦課金に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員野田国義君提出再エネ賦課金に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「負担増が国民生活及び地域経済活動に与える具体的な影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、利潤配慮規定(電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成二十八年法律第五十九号)による改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「旧法」という。)附則第七条の規定をいう。)に基づき、旧法の施行の日から起算して三年間は、調達価格を定めるに当たり、旧法第三条第二項に規定する特定供給者が受けるべき利潤に特に配慮するものとされていたところ、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成二十三年法律第百八号。以下「法」という。)第三十六条第一項に規定する賦課金(以下「賦課金」という。)の現状については、旧法の施行の日から起算して三年間に旧法第六条第二項に規定する認定を受けた再生可能エネルギー発電設備に係る再生可能エネルギー電気の調達等に要する費用が、特に賦課金の増大に影響しているものと認識しているが、賦課金は、再生可能エネルギーの導入拡大を促進するため、法に基づき、再生可能エネルギーの導入拡大のメリットを受ける電気の使用者に御負担いただいているものであると認識している。

 その上で、政府としては、法に基づく入札制度の導入、中長期的な調達価格等の目標の設定等の再生可能エネルギー発電設備の効率的な導入を促す仕組みの活用等により、国民負担の抑制を図りながら、引き続き、再生可能エネルギーの導入拡大を進めていくことが重要であると考えている。

二について

 お尋ねの「国民の間で負担の公平性(逆進性など)」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、賦課金の「減免制度」については、第百七十七回国会に内閣が提出した電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法案への議員修正により、国民負担の公平性並びに我が国産業の国際競争力の維持及び強化のバランスを踏まえて措置されたものと認識している。政府としては、引き続き、当該「減免制度」を含め、賦課金に係る制度を適切に運用していく方針である。

三について

 賦課金については、法に定める特定契約又は一時調達契約により電気事業者が再生可能エネルギー電気の調達等に要する費用に充てられているところ、政府として、個別の認定事業者が受け取る具体的な金額については、公にすることにより、当該認定事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから公表していないが、法に基づく支援の対象となる認定事業者の名称を含め、認定(法第九条第四項の認定(第十条第一項の変更又は追加の認定を含む。)をいう。以下同じ。)された再生可能エネルギー発電事業計画の実施の状況に関する情報について、適切な範囲で、経済産業省のウェブサイトにおいて公表しているところである。

四について

 お尋ねの「権利者の定義」については、土地又は建物に係る権利の設定の在り方が多岐にわたるため、「権利者」の有する具体的な権利を列挙してお答えすることは困難であるが、再生可能エネルギー発電設備を設置する土地又は建物について、所有権その他の再生可能エネルギー発電事業を実施するために必要な権利を有している者を指している。

五について

 御指摘の「調達価格を維持するに相応しくない事業者が一定程度排除された」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、事業者間の個々の電力系統への接続に関する契約(以下「接続契約」という。)を締結した電源については、接続契約を締結した者が送電線を利用することを前提としており、接続契約の申込みの受付順に公平に送電系統の容量を確保することとなっている。

六について

 お尋ねの「無制限の出力制御が発生するリスク」及び「設備増強の費用負担が発生するリスク」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成二十八年経済産業省令第八十四号)による改正前の電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則(平成二十四年経済産業省令第四十六号。以下「旧法施行規則」という。)においては、電気の供給量がその需要量を上回ることが見込まれる場合における御指摘の「出力制御」を条件として電力系統への電源の接続を認めることを定めるとともに、再生可能エネルギーの導入拡大を促進する観点を踏まえて認定に係る具体的な基準を定め、これらを運用していたところである。

七から九までについて

 お尋ねの「報告徴収において根拠書類を用意できない案件」、「「権利者の証明書」以外に証拠書類として提出できない案件や行政処分庁の許認可申請が行われていない案件」及び「電力事由で聴聞が猶予された案件群」の具体的に意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、御指摘の「聴聞」については、先の答弁書(令和七年四月十八日内閣参質二一七第九四号)八についてでお答えしたとおり、「報告徴収」により、旧法第六条第二項に規定する認定を受けた再生可能エネルギー発電設備を設置する場所及び当該再生可能エネルギー発電設備の仕様の決定状況を確認した上で、旧法施行規則第八条第一項第二号に規定する基準に適合していないと認められる当該再生可能エネルギー発電設備に対して順次実施したものである。

 また、お尋ねの「電力事由」については、認定事業者と電気事業者の間の個別の協議状況が多岐にわたるため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、認定事業者からの報告時点において、認定事業者が系統連系の接続申込を行ったものの、その承諾の回答を受けていない状況等を指している。