第217回国会(常会)
内閣参質二一七第一二〇号 令和七年五月二十七日 内閣総理大臣 石破 茂
参議院議長 関口 昌一 殿 参議院議員吉良よし子君提出伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員吉良よし子君提出伊豆・小笠原諸島の医療・介護や物価高騰対策に関する質問に対する答弁書 一の1について 御指摘の「離島地域」等における「特別地域加算」を含む加算の在り方については、令和五年十二月十九日に社会保障審議会介護給付費分科会が取りまとめた「令和六年度介護報酬改定に関する審議報告」において、「離島・中山間地域・豪雪地帯等に対する加算の対象サービス・対象地域等については、サービス類型ごとに、利用者数・移動距離・移動手段・移動時間といったサービス提供状況や、令和六年度から施行する経営情報データベース等を活用しつつ詳細な収支状況の実態を把握した上で、介護報酬上の評価の在り方を含め必要な方策を引き続き検討していくべきである」とされていることを踏まえ、必要な対応を行ってまいりたい。 一の2について 御指摘の「離島地域における介護報酬の加算」として、例えば、一の1で御指摘の「特別地域加算」については、令和六年六月十一日の参議院厚生労働委員会において、武見厚生労働大臣(当時)が「離島等であって、特に移動に時間を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない地域においてサービス提供を行った場合に十五パーセントの加算をしているもの」と述べているとおりであり、こうした趣旨を踏まえ、当該加算については、一の1で御指摘の「訪問系サービス」を行う事業所が算定できることとしている。他方、お尋ねの「施設サービス」に関しては、地域医療介護総合確保基金による地域密着型サービス施設等の整備費用等に対する補助を行っているところ、御指摘の「離島地域」については、当該補助の加算を行っている状況であり、引き続き、当該加算等による支援を推進してまいりたい。 一の3について 御指摘の「離島地域」等における「介護報酬の加算」の在り方については、一の1についてで述べたとおり、「令和六年度介護報酬改定に関する審議報告」において、「必要な方策を引き続き検討していくべきである」とされているところであり、お尋ねについては、これを踏まえて引き続き検討していく中で、必要な検討をすべきものと考えている。 一の4について 御指摘の「離島地域」における「介護人材確保のため」の「支援」については、介護報酬上の手当として、例えば、一の2についてで述べたとおり、「離島等であって、特に移動に時間を要し、事業運営が非効率にならざるを得ない地域においてサービス提供を行った場合に十五パーセントの加算をしているもの」として一の1で御指摘の「特別地域加算」を設けているほか、介護福祉士養成施設の学生の学費等の支援として、卒業後に介護福祉士として一定期間介護業務に従事した場合に貸し付けた学費等の返還の債務を免除する「介護福祉士修学資金貸付事業」を実施しているところ、御指摘の「離島地域」で従事した場合には、当該一定期間を短縮するといった特例を設けている。また、「離島・中山間地域等サービス確保対策事業」(「離島・中山間地域等サービス確保対策事業実施要綱」(平成三十年五月九日付け老発〇五〇九第三号厚生労働省老健局長通知別紙)に定める事業をいう。)により、「ホームヘルパー養成など、人材の確保対策に重点をおき、具体的な方策・事業の検討や試行的事業等を実施する」ことを目的として、都道府県が「サービス確保対策検討委員会(自治体担当者、学識経験者、事業者団体等で構成)を開催し、状況調査(不足サービスの種類、量、介護人材不足の状況等)、阻害要因の把握、分析、サービスの確保・充実のための具体的事業の提示」を行う場合及び市区町村が「NPO法人等の立ち上げ支援(ホームヘルパー養成など介護人材の養成・確保支援)」等を行う場合の費用の補助を行っている。引き続き、こうした支援策などを推進してまいりたい。 二の1について 御指摘の「CT検査やMRI検査の遠隔画像診断」については、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(令和六年三月五日付け保医発〇三〇五第四号厚生労働省保険局医療課長及び歯科医療管理官連名通知)において、「遠隔画像診断を行った場合は、送信側の保険医療機関において撮影料、診断料及び画像診断管理加算・・・を算定できる」としており、御指摘のように「現在、CT検査やMRI検査の遠隔画像診断を行った際には本土の支援側の医療機関は診療報酬を算定することができる」わけではないことから、お尋ねの趣旨が明らかではないが、いずれにせよ、「CT検査やMRI検査の遠隔画像診断を行った際」の「診療報酬」の「算定」は、「離島の医療機関」と「本土の医療機関」のように二つの医療機関がそれぞれ同通知における「撮影」及び「読影」を分担して行うことを前提とした評価に基づくものであり、両者の間において診療報酬の支払いについて疑義が生じ得ることから、同通知において、「受信側の保険医療機関における診断等に係る費用については受信側、送信側の医療機関間における相互の合議に委ねるものとする」と定めているところ、例えば、御指摘のような「超音波診断装置、内視鏡」を用いた検査については、必ずしも二つの医療機関が分担して行うことが想定されないことから、同様の規定を定めることについては、慎重に検討する必要があると考えている。なお、一般論として、診療報酬が算定された医療機関に支払われた当該報酬の使途については、当該医療機関において判断されるものであるところ、御指摘のような「診療支援」に係る費用について、「本土の医療機関」と「離島の医療機関」との間における「相互の合議」で定め、これに充てることを妨げるものではない。 二の2について お尋ねの「遠隔診療に必要な施設・設備の整備に対して」の「支援」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないが、二の1で御指摘の「離島地域」における「遠隔医療」の導入に向けた「支援」については、例えば、令和六年五月十三日の衆議院決算行政監視委員会第三分科会において、武見厚生労働大臣(当時)が「オンライン診療を含む遠隔医療の推進は重要な課題であると認識をしており(中略)遠隔医療の普及に向けては、遠隔医療に関わる事例集や手引書を作成し、これを広く医療機関に対して周知するとともに、遠隔医療のための機器の整備に対する財政支援を行って」いると答弁しているとおりであり、引き続き、こうした取組を進めてまいりたい。 三について お尋ねについては、御指摘の「離島地域」の市町村も含め、「令和五年十月実施の生活扶助基準の見直し等に関する周知について」(令和五年六月二十三日付け厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)において、「各市町村の級地区分の指定については、「生活保護制度に関する国と地方の実務者協議におけるこれまでの議論の整理」(令和四年四月二十二日)において、「変更すべき積極的な根拠がない限り、現行の級地指定を維持することを基本」とし、「統計的な手法を用いて指定を見直し得る市町村を検討の対象とする」とされていたところであるが、検討の結果、指定を見直すべきとの有意な結果は得られなかった・・・ことから、個別の市町村の級地指定の見直しは行わないこととした」、「基準部会報告書においても「個別の市町村に係る階層化結果については、ほとんど有意な結果とならなかった。」とされて」いる等としているとおりであり、こうした経緯等を踏まえると、御指摘の「級地区分を見直」すことについては、引き続き、慎重に検討すべきものと考えている。 四について 御指摘の「離島のガソリン流通コスト対策事業」の実施においては、本土及び補助対象の離島のそれぞれにおけるガソリンの小売価格の差並びに本土から当該離島までの運搬等に要する追加的な流通コストのモニタリングを定期的に実施し、補助単価の見直しを行うこと等により、適切に運用している。 また、御指摘の「軽油、灯油など」を含む「燃油」の価格の「低減」については、経済産業省の補助事業として、補助事業者の全国石油商業組合連合会が実施している「離島への石油製品の安定・効率的な供給体制の構築支援事業」(同連合会が令和七年四月に作成した「令和七年度離島への石油製品の安定・効率的な供給体制の構築支援事業公募要領」に定める事業をいう。)により、「地域毎にコンソーシアムによる検討の場を設けて流通合理化と安定供給に向けた議論を行い、地域の実情を踏まえた具体的な対策を策定すること」等を支援するため、当該「策定」等に要する経費を補助することを通じて、行っている。 引き続き、これらの取組を進めることで、御指摘の「離島地域」の「燃油」に係る費用負担の軽減を図ってまいりたい。 |