質問主意書

第217回国会(常会)

答弁書

内閣参質二一七第一一〇号
  令和七年五月十三日
内閣総理大臣 石破 茂


       参議院議長 関口 昌一 殿

参議院議員浜田聡君提出社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員浜田聡君提出社会保険料の事業主負担に関する政府見解の整合性に関する再質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「報告書記載内容」については、把握している。

 その上で、お尋ねの「理由」については、先の答弁書(令和七年二月二十五日内閣参質二一七第二九号。以下「前回答弁書」という。)一及び三についてにおいて、御指摘の「報告書記載内容」を含むより詳細な「報告書」の「まとめ」を示すこととしたものである。

二について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「報告書記載内容」を含む「報告書」は、「社会保険料の事業主負担」に関する「研究や分析結果」の一つと認識しているところ、いずれにせよ、「報告書記載内容」は、「研究」による事実認定に関することであり、政府としてこれに賛否を付す立場にはない。

三について

 御指摘の「社会保険料の事業主負担が労働者負担に帰着している可能性があることを前提とした場合、これが賃金水準、雇用調整及び非正規雇用の増加等に及ぼす影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、「社会保険料の事業主負担」が雇用に与えるお尋ねの「影響」については、前回答弁書一及び三についてでお答えしたとおり、一概に評価することは困難であるところ、今後とも、必要に応じて情報の収集に努めてまいりたい。

四について

 御指摘の「社会保険料の費用負担とその帰着、賃金や雇用への影響に関する実証研究等」の具体的に指し示す範囲が必ずしも明らかではないため、網羅的にお答えすることは困難であるが、例えば、前回答弁書一及び三についてで述べたとおり、令和五年五月十六日に独立行政法人労働政策研究・研修機構が「「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(企業郵送調査)及び「働き方に関するアンケート調査」(労働者Web調査)結果」(以下「調査結果」という。)を公表しており、これによると、「常用雇用者百一~五百人企業の適用拡大(二千二十二年十月~)への対応状況」について、「要件を満たす短時間労働者(対象者)」が「いる」と回答した企業の割合は七十七・六パーセントとなっており、そのうち、「厚生年金・健康保険の新たな適用に伴う対象者との調整方針」について、「できるだけ、適用する」、「どちらかといえば、適用する」、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」、「どちらかといえば、適用しない」又は「できるだけ、適用しない」と回答した割合は、それぞれ五十五・一パーセント、七・六パーセント、三十四・三パーセント、〇・三パーセント及び〇・五パーセントとなっており、「中立(短時間労働者の意向にまかせる)」、「どちらかといえば、適用しない」及び「できるだけ、適用しない」の合計の割合は、三十五・一パーセントであるところ、それらの企業のうち、「厚生年金・健康保険の新たな適用を回避した(する)理由」について、「人件費の増加につながるから」と回答した割合は十・〇パーセントであったと承知している。また、調査結果によると、「厚生年金・健康保険に加入できる条件の求人の受止め方」として、「厚生年金・健康保険に加入できる条件の求人の魅力度合い」について、「非常に魅力的だと思う」又は「どちらかといえば、魅力的だと思う」と回答した「短時間労働者」の割合は、それぞれ十五・五パーセント及び三十・二パーセントであり、その合計は四十五・七パーセントであった一方、「どちらかといえば、魅力的ではないと思う」又は「まったく魅力的ではないと思う」と回答した割合は、それぞれ十一・六パーセント及び八・五パーセントであり、その合計は二十・一パーセントであったと承知している。また、同機構においては、この他にも同様の調査を実施しており、例えば、平成三十年二月二十三日に「「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(事業所調査)及び「社会保険の適用拡大に伴う働き方の変化等に関する調査」(短時間労働者調査)結果」を公表したと承知している。

 その上で、お尋ねの「その内容に対する政府の見解」の意味するところが明らかではないが、政府としては、これらの「内容」について、社会保障審議会年金部会に報告しながら、制度改正等の検討を行ってきたところである。